じっと佇んでいる死の存在に気づかせてくれる作品・・・【山椒読書論(334)】
【amazon 『白鳥の歌なんか聞えない』 カスタマーレビュー 2013年12月12日】
山椒読書論(334)
『白鳥の歌なんか聞えない』(庄司薫著、新潮文庫)は、かつて一世を風靡した、日比谷高校生の「庄司薫」を主人公とする四部作の第3弾である。タイトルに「白」が入っている。
どんな人間だって結局は死んでしまうと考えると、無限の暗闇に吸い込まれていくような恐怖を感じる。死んでいく者同士だからこそ、互いに優しくしなければと悩みながら、行動する若者たち。じっと佇んでいる死の存在に気づかせてくれる作品。
シリーズの『赤頭巾ちゃん気をつけて』(赤)、『さよなら快傑黒頭巾』(黒)、『ぼくの大好きな青髭』(青)(いずれも、庄司薫著、新潮文庫)も、すこぶる面白い。そして、見かけによらず、奥が深い。