ここ100年間のベストセラーをぶった斬りの辛口書評集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2983)】
野鳥観察会に参加し、25種の野鳥を観察することができました。チュウサギ(写真1)、カワウ(写真2)、オオバン(写真3)、ノスリ(写真4)、ハシブトガラスの巣と雛(写真5)、ハシボソガラス(写真6)、ホオジロの雄(写真7)、ツバメの幼鳥(写真8)、トウキョウダルマガエル(写真9)、ヌマエビの一種(写真10)、コガネグモの雌の表面(写真11)、裏面(写真12)、コアオハナムグリ(写真15)、アゲハ(写真16)、キアゲハ(写真17)、ベニシジミ(写真18)をカメラに収めました。セッカの絶好のシャッター・チャンスを逃してしまい、残念至極。リーダーの紺野竹夫さんから、コガネグモに捕らえられ、クモの糸でぐるぐる巻きにされていながら、必死に足を伸ばしてもがいている甲虫(写真13)を助けてやったらと言われ、きつく巻かれた包帯のような糸を漸く剥がしたところ、現れたのはシロテンハナムグリ(写真14)でした。そして、すぐ元気に飛び去ったが、コガネグモさん、せっかくの獲物を奪ってしまい、ごめんね。ノカラマツ(写真19)が咲いています。因みに、本日の歩数は15,025でした。
閑話休題、対談集『百年の誤読』(岡野宏文・豊﨑由美著、ぴあ)では、ここ100年間のベストセラーについて言いたい放題の書評が繰り広げられています。
豊﨑由美は私が私淑する書評家だが、私の好きな作品たち、例えば、『友情』(武者小路実篤著)を「トンデモ本に近い?」と、『砂の器』(松本清張著)を「ご都合主義」と、『気くばりのすすめ』(鈴木健二著)を「想像力が欠如」と、『サラダ記念日』(俵万智著)を「短歌革命なんてもてはやされ、いかにも新しいって顔してますけど、この中に提示されてる男女関係ってものすごく古風でしょ。おじさんはそこにメロメロになっちゃったんですねー」と――扱き下ろしているのには、どうあっても同意できません!
一方、『みだれ髪』(与謝野晶子著)、『羅生門』(芥川龍之介著)、『楢山節考』(深沢七郎著)、『赤頭巾ちゃん気をつけて』(庄司薫著)などは、髙く評価しています。
『みだれ髪』――
「●豊﨑=わたしが凄いと思ったのは、<乳ぶさおさへ神秘のとばりそとけりぬここなる花の紅ぞ濃き>ですかね。これ、女性のオナニーについて詠んだ歌なんじゃないですか? やるなー、晶子っ。●岡野=この人のことは森鴎外も認めてたんですよね」。
『羅生門』――
「●豊﨑=古典の換骨奪胎のお手本的な作品だと思います」。
『楢山節考』――
「●豊﨑=深沢さんは『アンチヒューマニズム』の作家ってよく言われるけど、わたしは違うと思うんです。人間の生きる喜びって、どこから生まれてくるかというと、やっぱり死ぬということが前提になってるからだと思う。そういう生の核としてある死を、徹底的に突き放すような視点で描いたのが、この小説の凄みになってるんじゃないかな」。
『赤頭巾ちゃん気をつけて』――
「●岡野=普通の青春小説って世界にバツをつけていく話だと思うんだ。たとえばサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』なんかも、ホールデン少年が世の中やまわりの人物に、あれもダメ、これもインチキって、とめどなくバツを付けていく小説の典型。だけど、薫くんは自分にどんどんバツをつけていく代わりに、世界にマルをつけようと頑張るわけ」。「●豊﨑=サリンジャーは今でも読み継がれてるのに、庄司薫をちゃんと語る人はほとんどいない、それって、かなり不自然。庄司さんがこう文体を創出したからこそ、80年代に村上春樹が登場できたと思うんですけどねえ。時代を伴走する優れた批評家を持てなかったのが、庄司薫の悲劇のような気がします」。
これらの高評価には、頗る満足!