榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

アフリカを出たホモ・サピエンスは、いかにして世界に広がったのか――老骨・榎戸誠の蔵出し書評選(その323)・・・【あなたの人生が最高に輝く時(410)】

【読書の森 2024年12月30日号】 あなたの人生が最高に輝く時(410)

●『人類の足跡10万年全史』(スティーヴン・オッペンハイマー著、仲村明子訳、草思社)

500万年前にアフリカで誕生した人類、アウストラロピテクスの仲間が200万年前にホモ属に進化し、180万年前にホモ・エレクトスがアフリカを旅立ち、東アジアにはその子孫のホモ・エレクトス・ペキネンシス(北京原人)が、東南アジアにはホモ・エレクトス・エレクトス(ジャワ原人)が、そしてヨーロッパにはホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)が住んでいたが、やがて、これらの初期人類はすべて絶滅する。そして、20万~15万年前にアフリカで誕生した私たちの祖先、ホモ・サピエンスの一部が7万~6万年前にアフリカを旅立ち、世界中に広がったというのが、現在、遺伝子(ミトコンドリアDNAとY染色体DNA)の証拠に基づき広く認められている「出アフリカ起源説」である。

この「出アフリカ起源説」を詳しく知るには、『人類の足跡10万年全史』(スティーヴン・オッペンハイマー著、仲村明子訳、草思社)が最適である。アフリカを出たホモ・サピエンスは、いかにして世界の果てまで辿り着いたのか。最新の遺伝子学、化石記録、気候学を縦横に駆使し、出アフリカ後の人類の壮大なドラマが明らかにされている。