榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

博物館・美術館・図書館大好き人間のエッセイ集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3593)】

【読書の森 2025年2月5日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3593)

餌台から落ちて枝に引っかかった食べ残しのリンゴの皮をメジロが啄んでいるわよ、と撮影助手(女房)の声。シジュウカラも加わり、我が家の庭の餌台はてんやわんや! 写真4、5、11~13は撮影助手が撮影したもの。

閑話休題、エッセイ集『文学と博物館――静と動の連結とその編成』(栂正行著、三月社)には、著者の興味深い考え方が溢れています。

●博物館、美術館だけでなく、図書館も博物館――本の博物館、書かれていることの博物館――と捉えることができる。

●早稲田の漱石山房記念館に再現された書斎を見るにつけ、夏目漱石が集めたのは本と人間(弟子たち)だという気がしてくる。

●人は作家になるべく読書をする。読書をしすぎて、作家になれぬ場合もある。また人は自分のなかの作家的感性、読者的感性に加え、編集者的感性のありようも見極める。自分のなかの編集者が強ければ、作家が退く。作家が強ければ編集者が退く。

●神田古書店街のような古書店と新刊書店の集合体の街をあたかも大図書館、大博物館のように散策する人が現れる。人は博物館内を回遊するように、古書店街を回遊する。

●作家の作品の受容は、処女作に始まり、作中人物事典の完成、あるいは記念館の完成で一段落する。