読書のある人生、ない人生、あなたはどちらを選択するのか・・・【山椒読書論(91)】
【amazon 『定年と読書』 カスタマーレビュー 2012年10月30日】
山椒読書論(91)
『定年と読書――知的生き方をめざす発想と方法』(鷲田小彌太著、文芸社文庫)は、定年後に的を絞った読書術の本である。
著者は、読書を定年後の生活のど真ん中に置けと使嗾している。この考え方に賛成しない人は、読書が持つ多面的かつ素晴らしい力を知らない人間だというのだ。「読書の本当の効用は、定年後にはじまる、ということだ。知的エネルギーに溢れた生き方を、読書こそが可能にするからだ。生き方が、仕事がうまい人は、読書もうまい」と意気軒昂である。
「定年後の日々には読書が似合う」の章では、読書をすると世界が違って見えてくる、本を読まない人は老化が速い、「隠れ宿」で本を読むときの気分は最高――と述べている。
「読書のある人生、ない人生」の章では、「大型(書)店の正面入り口から入ってゆくときの高揚した気分。専門(書)店のめざす棚にまっすぐに進んでゆくときの快感。古書店の狭くて暗い通路に入り込むときの、未知との遭遇を期待する妙に隠微な心」に言及し、定年後こそ、書店に出向けと叱咤している。
「読書計画のある人生」の章では、定年後の人生設計の中に読書計画をしっかりと組み込むことを勧めている。
著者が一番言いたいのは、若い時から「定年後に備えて読書体力を付けておけ」ということではないだろうか。