榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

苦手な英語を学び直したい人向けの画期的な本・・・【続・リーダーのための読書論(49)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2015年1月29日号】 続・リーダーのための読書論(49)

MRと英語論文

MRが英語論文を読みこなす必要性が増している。学術論文は、文学作品などとは異なり構文が単純であるにしても、文法がしっかり分かっているか否かは読解スピードに大きく影響してくる。

英文法の全体像

もう一度、英文法を学び直したいという向きには、『東大生が書いたつながる英文法――1週間で中学英語総ざらい』(浅羽克彦著、ディスカヴァ・トゥエンティワン)と『もっとつながる英文法――1週間で高校英語総ざらい』(浅羽克彦著、ディカヴァ・トゥエンティワン)を薦めたい。世に英文法の本は多いが、冒頭に中学英文法、高校英文法の全体像を樹木図で明示しているのは、管見の限り、本書だけである。

中学英文法

中学英文法の全体像は、「英文の幹」「飾り」「その他」の3つで構成されている。「英文の幹」は「主語+動詞」「動詞になくてはならない言葉」「時制」の3つで構成。「時制」は「現在」「過去」「未来」の3つで構成。「飾り」は「名詞を詳しく説明する飾り」と「動詞を詳しく説明する飾り」で構成。「名詞を詳しく・・・」は「現在分詞」「過去分詞」「不定詞の形容詞的用法」「前置詞+名詞」「関係代名詞」の5つで構成。「動詞を詳しく・・・」は「不定詞の副詞的用法」「前置詞+名詞」「助動詞」の3つで構成。「その他」は「疑問詞」「比較」「命令・お願い」「~すること(動詞→名詞)」「現在完了(時制の一種)」の5つで構成されている。

高校英文法

高校英文法の全体像は、中学英文法と同じく、「英文の幹」「飾り」「その他」の3つで構成されているが、枝葉の部分では下記のような異同がある。「時制」は「現在・過去・未来」「完了」「仮定法」の3つで構成。「名詞を詳しく説明する飾り」は「現在分詞・過去分詞」「不定詞の形容詞的用法」「前置詞+名詞」「関係代名詞」「関係副詞」の5つで構成。「その他」は「疑問詞」「比較」「命令・お願い」「~すること(動詞→名詞)」「~すること(文→名詞)」「接続詞」「分詞構文」の7つで構成されている。

学習のアドヴァイス

著者の高校英語のアドヴァイスを挙げておこう。(1)英語学習の全体像をつかむ、(2)10年後の自分をイメージする、(3)目標を細かく立てる、(4)続けられる仕組みをつくる、(5)理解できないポイントをはっきりさせる、(6)すき間の時間を使う、(7)いろいろな方法を試す――の7つである。また、中学英語のアドヴァイスの中では、「細かいことは後回し」が印象に残る。

苦手な英語を何とかせねばと頭の中で思っているだけでは、1cmも解決しない。思い切って本書を手にして、全体像を眺めた時、これなら何とかなりそうだという気になることだろう。