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キャリア(中途)採用のメディカル専門職は、MRだけなのか・・・【あなたの人生が最高に輝く時(9)】

【MR・メディカル専門職の転職 2012年2月17日号】 あなたの人生が最高に輝く時(9)

MR以外のメディカル専門職

開業医担当MR10年、大学・基幹病院担当MR10年、製薬企業でのMR育成・指導17年、CSOでのMR育成・指導7年――合計44年間の経験を通じて、「MRというのは、喜びも悩みもあるが、やりがいのある仕事」という私の確信は揺らいだことがない。

だからと言って、キャリア(中途)採用が行われるメディカル専門職は、医薬品に限定しても、販売後に、「医薬品の適正な使用に資するために、医療関係者に面接の上、医薬品の品質・有効性・安全性などに関する情報を提供・収集・伝達する」MR(医薬情報担当者)だけではない。

医薬品の誕生を川上から川下まで眺めると、「基礎研究(2~3年)→非臨床試験(3~5年)→臨床試験(第Ⅰ相臨床試験→第Ⅱ相臨床試験→第Ⅲ相臨床試験)(3~7年)→承認審査→製造→販売→製造販売後調査(4~10年)」という流れが見えてくる。

「臨床試験→承認審査→製造販売後調査」の段階には、「モニタリング」「登録・データセンター」「データマネジメント・統計解析」「メディカルライティング」「薬事・コンサルティング」などの業務がある。「モニタリング」を担当する「モニター」と、「データマネジメント」を担当する「データマネジメント担当者」については、下記で説明する。

「モニタリング」「データマネジメント」は製薬企業サイドに立っての業務であるが、一方、医療機関サイドに立って「臨床試験」をサポートする「治験(臨床試験)コーディネイト」と「サイトマネジメント」という業務がある。「治験(臨床試験)コーディネイト」を担当する「治験(臨床試験)コーディネイター」と、「サイトサポート」を担当する「サイトサポート担当者」については、下記で説明する。

「モニター」、「データマネジメント担当者」への道

「モニター」は「CRA(クリニカル・リサーチ・アソシエイト)」とも呼ばれるが、その業務は、臨床試験が、薬事法や実施計画書に従って実施・記録・報告されていること、また被験者の人権・安全・福祉が保護されていることを保証することである。

具体的には、臨床試験に参加する医療機関を訪問して担当医師と面談し、臨床試験の目的やデザイン、方法、統計学的な考察、組織・責任体制を記載した実施計画書の説明を行う。また、臨床試験の進行状況を調べ、症例報告書の記入依頼・回収・精査までを行う。

「データマネジメント担当者」の業務は、臨床試験によって集積された症例データを精査・固定・集計することである。

具体的には、臨床試験で回収された症例報告書のデータを入力し、チェック・修正するなどの症例データの管理を行う。

この「モニター」や「データマネジメント担当者」を目指す場合は、製薬企業あるいはCRO(コントラクト・リサーチ・オーガニゼーション。製薬企業が行う臨床試験に関わる業務を代行・支援する医薬品開発業務受託機関)がターゲットとなる。詳細は製薬企業、CRO、あるいは人材紹介会社で確認してほしい。

「治験(臨床試験)コーディネイター」、「サイトサポート担当者」への道

「治験(臨床試験)コーディネイター」は「CRC(クリニカル・リサーチ・コーディネイター)」とも呼ばれるが、その業務は、臨床試験の担当医師と被験者、および臨床試験依頼者(製薬企業など)の橋渡し役として、臨床試験の円滑な進行を支援することである。

具体的には、「臨床試験開始前の準備」「被験者への対応」「被験者の同意取得および症例登録」「有害事象への対応」「担当医師への対応」「モニターへの対応」「症例報告書の作成支援」「モニタリング・監査への対応」などを行う。

「サイトサポート担当者」の業務は、「臨床試験実施体制の整備」「臨床試験事務局・治験(臨床試験)審査委員会の設置・運営」「臨床試験実施状況報告書、臨床試験終了報告書などの各種資料の作成」などである。

この「治験(臨床試験)コーディネイター」や「サイトサポート担当者」を目指す場合は、SMO(サイト・マネジメント・オーガニゼーション。臨床試験の担当医師と被験者、および臨床試験依頼者の橋渡し役を務めるべく、臨床試験に関わる業務を受託する医薬品臨床試験実施施設支援機関)がターゲットとなる。なお、「治験(臨床試験)コーディネイター」については、看護師、薬剤師、臨床検査技師など医療関係知識を有する人材がベターとされている。詳細はSMO、あるいは人材紹介会社で確認してほしい。