榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

MRが金融資産を大きく殖やす勝利の方程式・・・【MRのための読書論(6)】

【Monthlyミクス 2006年6月号】 MRのための読者論(6)

株のことを何も知らないMR向き

図解 初めての人の株入門』(まがいまさこ著、西東社)は、株の世界を知ろうとする時、最初に読むペき本である。株と株取引に関する基礎知識が分かり易く図解されている、初心者向けの好著だ。

手間をかけずに殖やしたいMR向き

「恒産なき者は恒心なし」、「貧すれば鈍する」と言われるように、一定の金融資産を持たないと、日々のお金のやりくりに追われ、MR活動に集中することが難しくなる。こういった事態を避けるためには、まず、月々の給与天引きや口座引き落としでコツコツと基礎資金を貯める→その基礎資金を上手に運用して殖やす――という手順を踏む必要がある。

“時間”がお金持ちにしてくれる優雅な長期投資』(澤上篤人著、実業之日本社)は、手間をかけずに金融資産を殖やしたいというMR向きの本である。

著者は、日本経済が成長段階から成熟段階に移行し、男女を問わずサラリーマンに厳しい時代を迎えていると言う。●終身雇用と年功序列の貸金体系の崩壊●40歳前後での昇給停止、成果主義や能力主義の導入●会社の吸収合併や整理廃業による肩たたき●税金や社会保障費の負担の増加●年金の不透明化――とサラリーマンの収入は低位低迷し、不安定化するばかりだ。では、どうすればよいのか。「預貯金が財産づくりの柱」という幻想を捨て、自分で金融資産を殖やす手立てを講じる→これまでの長期間の実績で比較すると一番有利な株式投資を活用する→世の中のためになる、世の中に必要な企業を応援する気持ちで、その企業に長期投資する――これが著者の長期投資の勧めである。

この澤上の長期投資の方針に従って運用されているのが、さわかみ投信(http://www.sawakami.co.jp/)の「さわかみファンド」という投資信託(投信)だ。個人投資家のサイドに立った誠実な投信と評価が高く、実際に、個人投資家の期待を裏切らないトップ・クラスの運用実績を上げている。私は、日本における長期スタンスの本物の投信は「さわかみファンド」だけだと、密かに思っている。澤上の考え方に共感できたら、月に何万円かずつ「さわかみファンド」を購入する累積投資を始めてみてはどうだろう。

リスクを恐れないMR向き

書店の店頭こは「デイ・トレード(1日のうちに行う株の超短期売買〉で儲ける」、「私はこうして株で3億円儲けた」といった本が溢れているが、本当に株で儲けている人はほんの一握りに過ぎないこと、たまたま運がよかったから儲けたというだけの人の本からは何も学ペないこと――を忘れてはならない。

サラリーマンが株で稼ぐ一番いい方法』(二階堂重人著、三笠書房・知的生きかた文庫)は、MR活動はきちんとやりながら、自分の責任において金融資産を殖やしたいというMR向きの本である。

著者が勧めるのは、デイ・トレードではなく、スウィング・トレード(2週間以内の株の短期売買)である。その利点は2つある。1つは、株式市場の取引時間中に株価をチェックする必要がない。勤務中は、株のことを忘れて、仕事に集中できる。銘柄をチェックするのに必要な時間は、帰宅してからパソコンに向かう1日15分だけだ。もう1つは、それほど高度なテクニックを必要としないことだ。チェックするのは、「取引時間終了後の株価」と「株式指標」の2つのみでよいと、著者は述べている。株式指標とは、株価を判断する尺度になるものさしのことであるが、具体的なことは本書で学んでほしい。

「勝つための知識」と「勝つためのテクニック」を身に着けた者だけがネット・トレードの勝者になると説く本書は、サラリーマンに焦点を絞っていること、内容が具体的かつ明快で説得力があることで、類書とは一線を画している。

学術論文が好きなMR向き

投資をするならこれを読め!』(太田忠著、日経ビジネス人文庫。出版元品切れ)では、株式投資に関する国内外の名著が紹介されている。この本1冊で、ピーター・リンチ、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス等の著書58冊のエッセンスを一挙に学ぶことができる。