榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

レッド・オーシャンで泳がざるを得ない人間はどうすればいいのか・・・【MRのための読書論(93)】

【Monthlyミクス 2013年9月号】 MRのための読書論(93)

ブルー・オーシャンとは

レッド・オーシャン(以下、RO)にいる人間は、直ちにブルー・オーシャン(以下、BO)に移るべきだという意見がある。一概にBOといっても、BO企業もRO部門を抱えている。BO部門であろうと、全員がBO業務に携わっているわけではない。また、BO企業・部門・業務に移ろうとしても、事はそう簡単ではない。さらに、この変化の激しい時代に、BO企業・部門・業務が、いつまでもBOでいられるとは限らない。

そもそもBOとは何か。『ブルー・オーシャン戦略――競争のない世界を創造する』(W・チャン・キム、レネ・モボルニュ著、有賀裕子訳、ランダムハウス講談社)が言い出したことで、血みどろの戦いが繰り広げられているROでなく、競争のない青く澄み切ったBOで泳げと主張している。

これまで数々の「戦略」が持てはやされてきたが、ライヴァルと同じ市場で戦う限り、どれほど巧妙に戦略を練ったところでいずれ消耗戦を強いられる。著者は、この血まみれの戦いが繰り広げられる既存の市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」と呼び、競争自体を無意味なものにしてしまう未開拓の市場を「ブルー・オーシャン(青い海)」と名付けている。

ランチェスターに学ぼう

現在、BOで仕事ができている人たちは、自分の幸運に感謝すべきだろう。しかし、医薬品業界で働いている人の大部分がROで泳がざるを得ないのが現実だとしたら、BOへの脱出を夢見ているだけでいいのか。この問題で悩んでいる最中に、Monthlyミクスの沼田編集長、望月エディターと話す機会があり、ランチェスター戦略という重要なヒントが得られ、「そうだ、ランチェスターに学ぼう」と、ポッと希望の灯がともったのである。

ランチェスターとは誰か

私が40年前に夢中になったフレデリック・ランチェスターというのは、イギリスの技術者で、彼が空中戦の研究から1914年に生み出した法則がランチャスター法則と呼ばれている。因みに、バーナード・コープマンという数学者が、ランチェスター法則に修正を加え、競争戦略として一般化したものが、ランチェスター戦略モデル式である。

このランチェスター法則をマーケティング戦略として日本に導入したのが、田岡信夫である。田岡には、『ランチェスター販売戦略』(田岡信夫著、ビジネス社、全5巻。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)を初め数多くの著作があり、どれも勉強になるが、そのエッセンスを手軽に学びたいという向きには、『図解 ランチェスター法則入門』(田岡信夫著、ビジネス社。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)を薦めたい。

ランチェスター法則とは

ランチェスター法則とは、戦いの勝ち方に関する基本的な法則であり、●強者の戦略と弱者の戦略は異なる、●戦いは局地戦と確率戦を区別して進める、●攻撃は一騎討ちの中の一点集中により最も効果を発揮する、●敵との差異化(差別化)が活路を開く、●勝敗は力関係によって決まる――を骨子としている。

ランチェスター第1法則は、「一騎討ちの法則」である。両軍が1対1で戦う局地戦や接近戦では、兵力数の多いほうが常に勝つというのだ。第2法則は、「集中効果の法則」である。広域で戦う総合戦や機関銃のような近代兵器を使用する確率戦では、両軍の戦闘力は兵力数の二乗の差となる。例えば、兵力数が3対2なら、9対4の力関係で戦うことになるというのだ。

この第1法則こそ「弱者の戦略」であり、具体的には、●局地戦を選ぶ、●接近戦を展開する、●一騎討ち型を選ぶ、●兵力の分散を避け、一点集中主義をとる、●敵に分散と見せかけるための陽動作戦をとる――ことを勧めている。

レッド・オーシャンでも諦めるな

もちろん、ランチェスター法則を身に付けただけで、問題が解決するわけではない。レッド・オーシャンの仲間への具体的なヒントや提案については、Monthlyミクス編集部の果敢な取り組みに期待したい。