榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

歌川広重の『東海道五十三次』の「鞠子 名物茶店」のとろろ汁を啜っている旅人は弥次さんと喜多さんか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3561)】

【読書の森 2025年1月4日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3561)

アキニレの実を啄むカワラヒワ(写真1~10)の群れをじっくりと観察することができました。親子が凧揚げに興じています(写真11~15)。因みに、本日の歩数は11,555でした。

閑話休題、歌川広重の『東海道五十三次』の「鞠子 名物茶店」のとろろ汁を啜っている旅人は、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』の主人公、弥次さんと喜多さんだというので、びっくり!

ぶらり謎解き 浮世絵さんぽ――お江戸にタイムトリップ』(牧野健太郎著、エクスナレッジ)は、江戸時代の庶民気分を存分に味わえる愉しい一冊です。

浮世絵は、版元というプロデューサーのもと、多くの職人たちがそれぞれの役割を担当する一大共同事業です。絵師(墨一色の線画、「版下絵」を筆で描く)→版元(「版下絵」を名主に提出、許可印をもらう)→彫師(「版下絵」を版木に貼り「主版<おもはん>」を彫る。「主版」から「墨摺<校合摺>」を十数枚ほど摺る)→絵師(「墨摺<校合摺>」を色別に、各色の指定・細部まで指示を出す)→彫師(絵師の指示に従い複数の「色版」を彫る)→摺師(絵師の指示に従い「試し摺」を摺る。絵師の了解を得て、初刷り<200枚>を摺る)→版元(完成した初刷りを絵草子店から発売)という手順を踏むのです。

百万都市・お江戸の水運、四季を満喫するお江戸の人たち、習慣やしきたり、遊びなどお江戸の人々の生活ぶり、自由に旅する庶民たち――が、浮世絵と解説によって生き生きと再現されています。

名物茶店に二人の旅人、赤ちゃんをおぶった店のおかみさん、坂を行くおじさんが描かれている歌川広重の『東海道五十三次』の「鞠子 名物茶店」は、私の大好きな広重作品の一つです。著者・牧野健太郎は、この店先で美味そうにとろろ汁を啜っている旅人は、弥次さんと喜多さんだというのです。『東海道五十三次』は、ベストセラー『東海道中膝栗毛』のいわばビジュアル版だというのです。

浮世絵を眺めていると、世の憂さを忘れることができるのは、私だけでしょうか。