榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ(い)来て 妻としたしむ・・・【ことばのオアシス(14)】

【薬事日報 2009年9月18日号】 ことばのオアシス(14)

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ(い)来て
妻としたしむ

――石川啄木

結核の悪化により26年の生涯を閉じた石川啄木が24歳の時に発表した歌集『一握(いちあく)の砂』(朝日文庫)には、啄木の思いと才能が凝縮している。上に掲げた以外にも、「ふるさとの訛(なまり)なつかし 停車場(ば)の人ごみの中に そを聴きにゆく」、「ふるさとの山に向ひ(い)て 言うことなし ふるさとの山はありがたきかな」、「みぞれ降る 石狩の野の汽車に読みし ツルゲエネフの物語かな」など、いずれも一編のドラマたり得ている。