頑張れ、女性社員!・・・【山椒読書論(363)】
【amazon 『切ないOLに捧ぐ』 カスタマーレビュー 2013年12月26日】
山椒読書論(363)
私たちの仕事のパートナーである女性社員の仕事に関する悩みの内容が、近年、大きく変化してきているような気がする。
『切ないOLに捧ぐ』(内館牧子著、講談社文庫。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)は、女性を、中でも女性社員を元気づけてくれる本だと思う。
著者は自分のことを「普通のOL」と呼んでいるが、その三菱重工に勤めた13年間のOL時代が本音で綴られている。
著者は入社して5年目の26歳の時、「腰かけのつもりで入社してみたが、仕事というのは案外エキサイティングなものだ」という発見をする。そして、「組織で働くということもこんなに面白いものかと思った。『よし、本気で仕事をしよう』と思った」のである。
ところが、27歳の時点では、「『普通のOL』ほど切ないものはない。その悲哀をイヤというほど味わっていた。OLたちの無責任ぶりや能天気ぶりはもちろん否定しない。しかしその一方で、男たちのデリカシーのない言葉が、どれほど普通のOLを傷つけているか」と憤慨している。そして、28歳の頃、「突然、すべてにしらけてしまったのである」。
著者に「信じられないような一大転機」が訪れたのは、29歳の時、暇つぶしに出かけた2泊3日のニューヨーク・パック旅行でのことであった。「突然目の前にドッカーンと立ちふさがる」摩天楼から啓示を受けた著者は、「今までみたいな生き方をしていたら、私はせっかく生まれてきたのに人生を無駄にしてしまうわ」と気づく。
脚本家になろうと30歳で勉強を始めた著者は、その道の厳しさを嫌というほど思い知らされるが、「将来の見通しが立たなくても、小さな光が見えたというだけでこんなにも他人に優しくなれる」自分に驚くのである。