ジャングルの奥で、わがままな上流階級の女たちは、どう生きていくのか・・・【山椒読書論(404)】
【amazon 『悪魔のバカンス』 カスタマーレビュー 2012年1月27日】
山椒読書論(404)
「一瞬、夫たちの惨殺される光景がよみがえった。女たちの身体から力が抜け、目に涙があふれた。絶望のなかで、身体が鉛のように重くなり、身動きもできなくなるのを感じた。女たちは悲しみに泣きじゃくったが、それぞれの悲しみには後悔と恐怖が混じっていた」。
ある国際的大企業の最高幹部たちが休暇を楽しむため、夫人同伴で未開の島を訪れるが、夫たちは全員射殺され、それを目撃した妻たちはジャングルに逃げ込む。5人のわがままな上流階級の女たちは、文明から隔絶されたジャングルの奥で、自分だけを頼りに生きていかねばならなくなる。
『悪魔のバカンス』(シャーリー・コンラン著、山本やよい訳、新潮文庫、上・下巻。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)は、上質なエンタテインメントの必要にして十分な条件を見事に備えている。愛がなければ、人生とは言えない。面白くなければ、エンタテインメントと呼べない。