男性として複雑な気持ちに襲われる映画『嘆きの天使』・・・【山椒読書論(446)】
【amazon DVD『嘆きの天使』 カスタマーレビュー 2014年5月26日】
山椒読書論(446)
何度、見ても、男性として複雑な気持ちに襲われる映画がある。1930年に公開されたドイツ映画『嘆きの天使』(DVD『嘆きの天使』<ジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督、マレーネ・ディートリッヒ、エミール・ヤニングス出演、IVC>)である。
謹厳実直な初老の教師・ラートは、ある学生が落とした踊り子のブロマイドを拾い、キャバレーに出入りしている学生たちに注意を与えるようと、生まれて初めて、場末のキャバレー「嘆きの天使」の扉を開ける。
そこで歌っていた旅芸人一座の踊り子・ローラに心を奪われたラートは、彼女目当てにキャバレーに通い詰める。このことが学校に知られてしまい、ラートは失職する。
ローラたちが次の興行地へ移動する日、ラートはローラに求婚し、二人は結婚する。
ローラの一座とともに各地を巡業して回るうちに、ラートの貯えも底を突く。やがて、かつて教師を務めていた町でラートも舞台に立つことになり、座長から昔の教え子や同僚たちの前で道化役を演じることを強要される。ラートがふと舞台裏に目をやると、予て情を通じていた一座の若い男とローラが接吻を交わしているではないか。そして、あまりにも悲劇的な結末が訪れる。