君の妻と小さな子供とが君からもぎ取られて、最も高い値段を付けた者へ売り渡される・・・【山椒読書論(593)】
【読書クラブ 本好きですか? 2021年10月24日号】
山椒読書論(593)
「君の妻と小さな子供とが君からもぎ取られて、最も高い値段を付けた者へ売り渡されるような機会が、仮にも君の身の上に襲いかかったと考えてみなさい!」。これはチャールズ・ダーウィンの言葉である。
進化論で知られるチャールズ・ダーウィンは、世界各国で行われていた奴隷制度の反対論者でもあった。若き日の著作『ビーグル号航海記』(チャールズ・ダーウィン著、島地威雄訳、岩波文庫、上・中・下)に、「リオ・デ・ジャネイロの近くで、私は女の奴隷の指を押し潰すためのネジを持っている老婆の家の向かい側に暮していた。私が滞在したある家では、若い家僕のムラート(白人と黒人のハーフ)が毎日、そして毎時間のように、最下等の動物でさえまいってしまうほどに罵られ、打たれ、迫害されていた」と書き記している。