榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

古代ローマ人の暮らしぶりを垣間見ることができる一冊・・・【山椒読書論(663)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年2月10日号】 山椒読書論(663)

古代ローマ 饗宴と格差の作法』(祝田秀全監修、G.B.)のおかげで、古代ローマ人の暮らしぶりを垣間見ることができた。

●どちらかが死ぬまで戦うコロッセウムの壮絶バトル。「これまで女性剣闘士はほとんど存在しなかったと考えられていた。だが、皇帝セウェルスが女性同士の試合を禁止したという記録があることや、女性剣闘士と思われるブロンズ像が見つかったことから、女性剣闘士が存在したという説も強まっている」。

●皇帝の夜のお相手をする高級娼婦がいた。

●人口の3割に当たる奴隷は市場で手に入れられた。「奴隷の売買が連日行われていた奴隷市場は、常に多くの人で賑わっていた」。

●奴隷でも主人が認めれば結婚することができた。「若い女性奴隷に夜の相手をさせ、その結果、主人の子を身ごもることも珍しくなかったという。主人の子でも、女性奴隷が生んだ子どもの身分は奴隷である。一般的に、子どもは主人の邸宅で奴隷として仕事についた。しかし、病弱だったり、奴隷を増やす必要がなかったりすると、母親である女性奴隷に捨てさせることもあったのだ」。

●主人に代わって奴隷にムチを打つ職業があった。「重罪人が公正な裁判を経て処される『猛獣刑』によって、意図的にライオンのエサにされる奴隷がいた」。

●奴隷から市民に昇格するには、主人が納税する必要があった。「奴隷も自由を夢見ることができる。奴隷も一生奴隷というわけではない。真面目に働き続けることで一般市民の身分を手にする者もいた」。

●身長173cm未満は兵士になれなかった。

●兵士たちは非番の日は浴場で仲間たちと賭博に興じた。