やっぱり、都々逸はいいなあ~・・・【山椒読書論(730)】
『紫文式 都々逸のススメ』(柳家紫文著、創美社)は、都々逸の官能的な味わいを堪能させてくれる。
●あついあついと 思っていても 三月もせぬうち 秋がくる(「秋がくる」には「飽きがくる」が掛かっている)
●親の気に入り 私も惚れる 粋で律義な 人はない
●顔見りゃ苦労を 忘れるような 人がありゃこそ 苦労する
●花は口実 お酒は道具 酔ってしまえば 出来心
●ちょいと見たとき させそうなようで 広げてさせない 破れ傘
●岡惚れ三年 本気で二年 思い叶って 二分半
●巻き煙草 体まかせて 口まで吸わせ 灰になるまで 主のそば
●君は吉野の 千本桜 色香よけれど 木が多い
●すねてかたよる ふとんのはずれ 惚れた方から 機嫌とる
●惚れさせ上手な あなたのくせに あきらめさすのは 下手な方
●浮き名立ちゃ それも困るし 世間の人に 知らせないのも 惜しい仲
●惚れた証拠に あなたの癖が みんな私の 癖になる
●去年の今夜は 知らない同士 今年の今夜は うちの人
●いやよいやよと いわれてやめる そんなあなたが もっといや
●寝顔見たいと 口説いたくせに なのに嘘つき 寝かせない
●寝顔見たいと 口説いたけれど 見なきゃよかった ノーメイク
●何事も なかったような 顔して帰る 白い化粧の 朝の月
●酒の相手に 遊びの相手 苦労しとげて 茶の相手
●この膝は あなたに貸す膝 あなたの膝は わたしが泣くとき 借りる膝
●もちかけられても 乗れないものは 人の女房と 口車
●ガキの頃から イロハを習い ハの字を忘れて イロばかり
●四角い火鉢を 間に置いて まるくおさまる 夫婦仲
●たとえ姑が 鬼でも蛇でも 主を育ての 親じゃもの
●明けの鐘 ゴーンと鳴る頃 三日月形の 櫛が落ちてる 四畳半
●明けの鐘 ゴーンと鳴る頃 仲直りすれば すねた時間が 惜しくなる
●逢えば笑うて 別れにゃ泣いて 噂聞いては 腹立てる
●あきらめましたよ どうあきらめた あきらめきれぬと あきらめた
●女房にゃ言えない 仏ができて 秋の彼岸の 廻り道
●惚れた数から ふられた数を 引けば女房が 残るだけ
●あなたに見せよと 着てきた着物 それをぬがすも またあなた
やっぱり、都々逸はいいなあ~。