身近な生物たちと、身近な生物代表のタヌキとの対談集・・・【山椒読書論(732)】
『身近な生物のきもち――君のそばにいるよ』(大島健夫著、メイツユニバーサルコンテンツ)は、身近な生物たちと、身近な生物代表のタヌキとの対談集である。
●ヒヨドリ
「ヒヨドリの価値がわからないのは、人間の中でも世界で日本人だけですよ。僕たちヒヨドリはね、日本列島とその周辺の限られた地域にしか分布していないんだ。アメリカやヨーロッパの鳥好きな人間にとって、ヒヨドリは、話に聞くだけで見たことのない鳥、日本に旅をする機会があったら是非会いたい鳥なんだ」。私が、この話を女房にしても、ヒヨドリ嫌いの彼女は納得しないのだ。
●ニホンカナヘビ
「(天敵に襲われ切り離した尻尾は)体調や栄養なんかにもよるけれど、10日もすれば新しい尻尾ができ始めて、それから数ヶ月で再生するよ。(しかし、再生しても)元通りにはならないよ。再生した尻尾には骨が入ってないからな。軟骨だけ。(次に天敵に襲われても)もう二度と切り離せないよ。『自切』っていうのは、1回やったら終わりなの」。ふーむ、そうなのか。
●ナガサキアゲハ
「(近年、関東のみならず東北地方まで分布を広げているのは)やっぱり地球温暖化ですねえ。我々どもはもともと、アジアの熱帯や亜熱帯に分布しているようなチョウですから。寒くて繁殖できなかったのが、あったかくなったから繁殖できると。(ツマグロヒョウモンとかミナミアオカメムシとか)実際、近年の温暖化で北上している昆虫って、とてもたくさんいるんですよ」。
●オンブバッタ
「(生まれたのは)僕はプランターで。親がプランターの土の中に卵を産みまして。孵化してからは主にバジルを食べて育ちました。それにアサガオとか、シソも。大体のバッタは、交尾の時期だけ、雄が雌に乗っているんですよ。でも、オンブバッタは、それ以外の時期でも雄が雌に乗っているんです。だから、『オンブ』の時期が長くてよく目につくので、オンブバッタなわけです」。
楽しく学べる一冊だ。