子供時代に夢中になって読み耽った『少年ケニヤ』・・・【山椒読書論(760)】
【読書クラブ 本好きですか? 2022年12月6日号】
山椒読書論(760)
昭和20~30年代のことだが、子供時代の私は、やれ熱っぽいだの、風邪気味だの、腹の調子が悪いだのと、掛かり付けの河見(こうみ)小児科医院をしょっちゅう訪れていた。そして、その狭い待合室の本棚に並んでいた山川惣治の『少年王者』と『少年ケニヤ』シリーズを読むのを楽しみにしていた。当時のワクワク感を再び味わいたくて、絵物語『少年ケニヤ』(山川惣治著、角川文庫、全20巻)を購入した。
『少年ケニヤ(1)』では、主人公の村上ワタル少年がアフリカ・ケニヤで血沸き肉躍る冒険生活を送ることになる経緯が語られている。
昭和16年、10歳のワタルは父・村上大助に連れられケニヤを訪れるが、使用人の原住民に諮られ、二人は離れ離れになってしまう。
サイ、ワニに襲われるが何とか逃げ延びたワタルは、行き倒れの老人を助ける。元気を取り戻した75歳ぐらいの老人はマサイ族の大酋長ゼガで、ワタルの保護者兼メンターとなる。
ワタルとゼガは、ヒョウ、巨大なガマガエル、ライオン、コウモリ、クロヒョウや、大酋長の地位を狙う副酋長センゲとその部下たちと戦う一方で、巨大な大蛇、群れを率いる巨ゾウとの間に信頼関係を築くことに成功する。
ゼガの指導を受けて逞しく成長していくワタルの冒険は、つ・づ・く。