榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

温厚なギャバ族に匿われているワタルの父・村上は、2年も前に太平洋戦争が終わっていたことを初めて知る・・・【山椒読書論(805)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年9月2日号】 山椒読書論(805)

昭和20~30年代のことだが、子供時代の私は、やれ熱っぽいだの、風邪気味だの、腹の調子が悪いだのと、掛かり付けの河見(こうみ)小児科医院をしょっちゅう訪れていた。そして、その狭い待合室の本棚に並んでいた山川惣治の『少年王者』と『少年ケニヤ』シリーズを読むのを楽しみにしていた。当時のワクワク感を再び味わいたくて、絵物語『少年ケニヤ』(山川惣治著、角川文庫、全20巻)を購入した。

少年ケニヤ(16)』――ワタル、ゼガ、今や味方となったゴンザ族の若酋長・ゴメが、トカゲ族に囚われていたケートを救い出す。一方、ワタルと離れ離れになっているワタルの父・村上は、重い病気にかかり温厚なギャバ族に匿われているが、2年も前に太平洋戦争が日本の敗戦で終わっていたことを初めて知る(この作品が描かれた時代背景が分かるエピソードだ)。

ワタルの冒険は、つ・づ・く。