榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

住みたい街ランキング上位の千葉県流山市には、驚くほど史跡がたくさん遺されている・・・【山椒読書論(817)】

【読書の森 2024年7月16日号】 山椒読書論(817)

子育て政策が好評で、住みたい街ランキングで上位にランクされる千葉県流山市。どっこい、流山は子育てだけではないぞ!

流山の史跡をあるく』(田村哲三著、図書出版みぎわ)を読むと、流山には驚くほど多くの史跡が遺されていることが分かる。著者の田村哲三は、流山じゅうを「歩き回る」だけでなく、「調べ尽くす」ことも疎かにしていないので、本書は通例のガイドブックのレヴェルを大きく超えている。

例えば、●前ヶ崎城址公園、●一茶双樹記念館、●近藤勇陣屋跡――などである。

●前ヶ崎城址公園

1478年、千葉孝胤と戦った太田道灌の城跡を偲ぶことができる。道灌が勝利するが、この戦いで道灌の弟・戸張彦次郎が戦死している。

●一茶双樹記念館

小林一茶は、1799年以降50回もパトロンであった秋元双樹邸を訪れ泊まっている。双樹邸で詠んだ「夕月や流残りのきりぎりす」の句碑が建てられている。

●近藤勇陣屋跡

1868年、新選組の近藤勇は流山に陣を敷いた。流山は局長・近藤と副長・土方歳三の永遠の別れの地となったのである。

個人的に唸ってしまったのは、●鏑木学校発祥の地 だ。1877年、鏑木平馬が私財を投じて鏑木学校を設立したこと、この学校が現在の八木北小学校に続いていることが記されている。なぜ唸ったのかというと、我が家の真向かいが八木北小学校だからである。