一滴の池の水から広がるプランクトンの世界・・・【情熱的読書人間のないしょ話(364)】
「大変よ!」と言いながら、女房が庭から戻ってきました。聞けば、ハシブトガラスがツゲの枝に付いていたオオカマキリの卵鞘を銜えて持ち去ったというのです。そろそろたくさんのオオカマキリが孵化する頃と私が心待ちしていたものです。我が家の駐車場の壁の割れ目から出てきたヴィオラが紫色の花を咲かせています。凄い生命力です。散策中に、私好みの薄桃色のコヒルガオを見つけました。赤い紙風船のような萼の下に黄色いランプみたいにぶら下がるウキツリボクの花がそよ風に揺れています。近年は外来種のセイヨウタンポポが圧倒的な勢いで広がっているため、滅多に見かけなくなった在来種のカントウタンポポを見つけました。カントウタンポポは外総苞片がめくれていませんが、セイヨウタンポポは外総苞片がめくれ、反り返って下へ垂れるので見分けられます。因みに、本日の歩数は10,892でした。
閑話休題、絵本『小さなプランクトンの大きな世界』(小田部家邦文、髙岸昇絵、福音館書店)では、庭の池の水の一滴からプランクトンの世界が広がっていきます。
植物プランクトンのツヅミモ、イカダモ、クンショウモ、アオミドロ、サヤミドロ、ケイソウ、クロレラ、ミカヅキモ、ヒゲマワリ、動物プランクトンのイタチムシ、ツリガネムシ、ワムシ、ゾウリムシ、ミジンコ、アメーバ、植物と動物の両方の特徴を持つプランクトンのミドリムシ――が次々に登場します。
「わたしは、『小さいなかまたち』に会いたくなると、庭の池の水をすくいます。池のふちのあたりにあるみどり色のモヤモヤしたものと池の底のどろと水をスポイトで吸いとって、あきびんに入れます」。そして、顕微鏡で覗くのです。
「プランクトンは池だけでなく、水のあるところならたいていどこにでもいます。湖、沼、小川、トイの中、水たまり、金魚鉢。へいやベランダのみどり色になっている部分にもいます。春や秋も水を入れたままにしてあるプールにもいます。もちろん海にも。ただし海水には塩分があるので、ちがう種類のプランクトンがいます」。
この絵本は小学中級からとされていますが、プランクトンの名前や生態をかなり詳しく知ることができました。近年の絵本はレヴェルが高いことを再認識しました。