榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

思考の深化なくして、言葉の成長なし・・・【情熱的読書人間のないしょ話(633)】

【amazon 『「言葉にできる」は武器になる。』 カスタマーレビュー 2017年1月1日】 情熱的読書人間のないしょ話(633)

2017年の初日の出を待つ間に身も心も引き締まってきました。酉年だというのに、ニワトリからジロッと睨まれてしまいました。女房手製のお節が雑煮の湯気で霞んで見えます。年賀状を1枚1枚じっくり読むのが元日の楽しみです。

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閑話休題、『言葉にできる」は武器になる』(梅田悟司著、日本経済新聞出版社)で著者が強調しているのは、「思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない」ということです。

人はどういうとき、言葉を成長させたいと思うのでしょうか。「人間の行動の裏には、必ず何らかの動機がある。言葉で考えるならば、『伝えたい思いがある』『自分の思いを余すことなく理解して欲しい』という気持ちが言葉を磨く原動力になり、言葉に重みや深み、凄みを付加することにつながる」。

他者に思いを伝えようとするとき、何が必要なのでしょうか。「心が揺さぶられるスピーチや感動的なプレゼンは、話し手が人生を賭けて成し遂げたいという姿勢に満ちている。言葉を磨くことは、語彙力を増やしたり、知識をつけることではなく、内なる言葉と向き合い、内なる言葉を用いて考えを深めながら自分を知ることから始まると言えよう。考えた時間の単純な積み重ねではなく、正しく内なる言葉と向き合った量、つまり思考量によってのみ、心から伝えたいことが生まれ、言葉に変化が表れる」。

「内なる言葉」とは、いったい何なのでしょうか。「言葉には会話やメールなどで使っている『外に向かう言葉』と、物事を考えるために無意識に使っている『内なる言葉』が存在している。言葉というと、つい、コミュニケーションをするための道具である『外に向かう言葉』に意識が向きがちだが、もう一方の『内なる言葉』を豊かにする、強化することこそが、言葉を磨くために重要となる。この『内なる言葉』とは、人が物事を考える時に頭の中で使っている言葉であり、考えを進める、広げる、深める、といったあらゆる側面で機能する」。

思考を深めようとするとき、先ず何をすればいいのでしょうか。「自分が今最も解決したい課題を思い浮かべることで、本当に考えていることを把握し、考えを進めていくことが可能になる。頭に浮かべる内容は以下のようなものが挙げられるであろう。<自分という存在について> ●一番大事にしているものは何か? ●どんな時に充実感を感じやすいか? ●やらなければならないことに追われていないか? ●本当にやりたいことは何か? ●他人には負けない得意なことはあるか? ●今後、どう成長していきたいか?」。

「内なる言葉」と「外に向かう言葉」との関係は、どうなっているのでしょうか。「内なる言葉は、外に向かう言葉のタネである。そのため、内なる言葉を無視して、外に向かう言葉だけを磨いたところで、話したり、書いたり、入力したりする言葉の内容が変わるわけではない。大切なのは、内なる言葉の存在をはっきりと認識し、内なる言葉の語彙力と解像度(画像や写真などの精度を数値化したもの)を上げることである。その上で、外に向かう言葉を鍛える方法を知ることにこそ意味がある。話すべき内容である自分の思いがあるからこそ、言葉は人の心に響いたり、人の気持ちを動かすことができるようになる。どう言うか、どう書くかではなく、自分の気持ちを把握した上で、自分の意見をどう伝えるか、どう書ききるか、でなければならない。内なる言葉が磨かれ、語彙力も解像度も高まって段階にあれば、自分の気持ちをすんなりと外に向かう言葉へと変換できるようになる」。

最後に、自分の言葉が相手に伝わっているか否かを確認する具体的な方法を、著者に教えてもらいましょう。「言葉の前に『あなたに伝えたいことがある』という文章を付けてみて、違和感や照れを感じないかを確かめることである。もしも違和感がなければそのままで問題なく、違和感を感じるようであれば、手直しをしたり、もう一度考え直すようにする」。早速、私もこの方法を試してみようと考えています。