昭和30年代の高校生の英語受験参考書の最高峰・・・【情熱的読書人間のないしょ話(644)】
散策中に、外側の花弁が黄色で内側の花弁は茶色いロウバイを見つけました。よく見かける、外側の花弁も内側の花弁も黄色いソシンロウバイは園芸種です。ボケが桃色の花を咲かせています。アオキが実を赤くしつつあります。夕焼けを眺めながら都心に向かいました。因みに、本日の歩数は10,738でした。
閑話休題、『斎藤さんの英和中辞典――響きあう日本語と英語を求めて』(八木克正著、岩波書店)を読み進めていくと、「2つの命題を否定する用法を代表する『クジラの構文』が広く一般に流布し、受験対策として記憶されるようになったのは、おそらく山崎貞『公式応用 英文解釈研究』(1912)と、その改訂版の『新々英文解釈研究』からであろう。この本は少なくとも私が高校生であった1963年頃までは大学受験参考書として実際に使われていた。山崎貞は斎藤(秀三郎)の弟子であり、斎藤と共に研究成果を受験参考書などで英語教育の現場に普及させた人である」とコメントされているではありませんか。
懐かしさのあまり、書斎の棚から『新々英文解釈研究』(山崎貞著、佐山栄太郎改訂、研究社。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)を引っ張り出してきました。
私が高校生の頃、この『新々英文解釈研究』をマスターしないと東大に合格できないと噂されていた英語受験書の最高峰でした。学び方が不十分だった私は、見事に噂を裏書きする一人になりましたが(笑)、当時から、この参考書の類書を寄せ付けない厳しさ、凄さはびしびしと感じていました。
一例を挙げれば、「(a)He has both experience and scholarship.(b)He has experience as well as scholarship.(c)He has not only scholarship but also experience.」という構文に、「(a)彼は経験と学問とふたつながら持っている。(b)彼は学問もあるが、また等しく経験もある。(c)彼は学問があるばかりでなく経験もある」という訳と、簡にして要を得た解説が付されています。この似通った構文を並べるという独特のやり方が、受験生の理解を深めるのに多大な効果を発揮したのです。そして、その解説の後には、これらの構文を含む例題が16問も並んでいて、それぞれを日本語に訳してみろと迫ってくるのです。これらの例題に地道に取り組んだ者は、めきめきと実力が付いたことでしょう。この大量の練習問題も本書の特色を形作っています。
久しぶりに高校時代の英語学習を再体験してしまいました。