知性を磨くと、判断力が高まる、勇気が湧く、優しくなれる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(775)】
東京・文京の、水戸光圀ゆかりの小石川後楽園では、小雨の中、ハナショウブがさまざまな色合いの花を咲かせています。因みに、本日の歩数は14,952でした。
閑話休題、『文脈力こそが知性である』(齋藤孝著、角川新書)は、テーマがはっきりしています。「語彙は『文脈力』があってこそ、自分自身の『知性』として表出するのです。自分のなかに蓄積された語彙や知識を、『文脈に即して、すぐに的確に使える』ようにする」ことを目的に書かれています。
知性がある人とは、どういう人でしょうか。「知性がある人は、何かことが起きたときに右往左往しない力を持っている人です。混乱してわけのわからないことを言ったりやったりしない。頭の整理ができていて、いろいろな問題をごちゃ混ぜにしていない。どうすればいいのか、冷静に筋道立てて考えることができる。知性のある人はそういう思考ができる人です」。●知性を磨くと、判断力が高まる、●知性を磨くと、勇気が湧く、●知性を磨くと、優しくなれる――というのです。
知性を磨くための方法が具体的に示されています。
●多くのことに関心がもてる人は、人生で味わえる喜びや楽しみのタネも増えます。それだけ人生に深みが増していくのです。
●「引用」するということは、他の人の知性を媒介にして自分の思っていることを表現できるようになるということです。
●話が通じるというのは、意味を分かち合える知識・教養の土台があるということ。言葉や感覚を共有できていて、それを一緒に味わえるということです。
●語彙力が身につくことのよさは何かといえば、言葉を手に入れることによって、物事を明晰に認識できるようになること。その状況を対象化して捉えられるようになること。その結果、強くなれることです。
●人には、それぞれ人生の文脈があります。人付き合いとは、その人の人生の文脈と付き合うことだと思うと、その人への理解が深まります。
●知性の要素として、最近は迅速であること、タイムリーであることが求められるようになっています。それには、短時間ですばやく脳を働かせ、スピーディーに言語化する回路が開かれていないといけません。
いつもながら、齋藤孝の文章は明快で、説得力があります。