榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

横丁の小さな店に入るとホッとするのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(794)】

【amazon 『昭和の店に惹かれる理由』 カスタマーレビュー 2017年6月25日】 情熱的読書人間のないしょ話(794)

今日は、ヘイケボタル幼虫育成ヴォランティアの節目――放流の日です。8カ月間、育ててきた幼虫たちと別れなければならないからです。ヴォランティアの世話役から、ここまで大きく育てることができたケースは少ないと褒められました。私は餌としてタニシを与えてきましたが、田んぼで育つ幼虫はサカマキガイが一番の好物とのことです。来る7月29日のホタル観察会での再会が楽しみです。帰り道でコクワガタを見つけました。夜は、オンコロジー・プロジェクトの第1期生の同期会に招かれました。製薬企業の大学病院担当MRとして活躍中などの報告を受け、14年前にCSO(MR派遣・業務受託)を立ち上げて本当によかったと、しみじみ感じました。因みに、本日の歩数は14,010でした。

閑話休題、『昭和の店に惹かれる理由』(井川直子著、ミシマ社)では、著者が、昭和の仕事を知ろうと東京周辺のもつ焼き、立ち飲み、パーラー、おでん、大衆酒場、天ぷら、お鮨、餃子などの店を訪ね歩き、その中から選び出した10軒が取り上げられています。

例えば、「鳥福」というやきとり屋は、このように紹介されています、「渋谷駅北口、スクランブル交差点からすぐの場所にあって、そこだけ切り抜いたように昭和が残る『のんべい横丁』。わずか2坪の店が均等に、身を寄せ合うように並び建つ一角で、『鳥福』はその最古参の一軒だ」。

「(馴染み客と主人は)通じ合っているのに、両者はどちらも前に出過ぎない。『おなじみでもある程度の距離を置くことは大事です。こっちだけで盛り上がっちゃ、あっちが面白くないですからね。ただ、お入りからお帰りまで、どの人にも必ずコミュニケーションは取ります。そのお客さんのための一言を必ずかける。<今日はお疲れのようでしたね>とか、<いつもの入ってますよ>とか、その人だけのために。お金さえ払えば会話もなしに目的が達成できちゃうっていうのは、横丁の文化にはないし、あっちゃいけない』」。

「経済が優先しない経済、と言うと謎解きのようだろうか。つまりは満足と対価をフェアにやりとりできる関係、ここにも、どちらも気持ちよく生きられる『お互いさま』の横丁精神がある」。

横丁の小さな店に入るとなぜかホッとするのは、昭和20年生まれの私だけではないようです。