イギリス文学に因んだ旅を通して、イギリスの魅力を再発見しようという試み・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1297)】
アケビの実、クロガネモチの実、ナンテンの実、センリョウの実、観賞用トウガラシの実、イヌタデ(アカノマンマ、アカマンマ)の実をカメラに収めました。シオンが薄紫色の花を咲かせています。マユハケオモト(ハエマンサス)が白い花を付けています。
閑話休題、『イギリス文学を旅する60章』(石原孝哉・市川仁編著、明石書店)は、イギリス文学に因んだ60の旅を通して、イギリスの魅力を再発見しようという試みです。
その名は聞いたことがあるが、その人物についてはほとんど何も知らないということがしばしばあるが、本書は、そういう場合も、簡にして要を得た情報を与えてくれます。
例えば、サミュエル・ジョンソンは、このように紹介されています。
「18世紀文壇の大御所と呼ばれ、詩人、エッセイスト、批評家、とりわけ英語辞書編纂者として知られるサミュエル・ジョンソンは、1709年にイングランド中西部スタッフォードシャーのリッチフィールドにある父親が経営する本屋で生まれた」。「(16歳の頃には)父親の財政状態が悪かったために、ジョンソンの将来は不確かで、実家の本屋で手伝いをしながら、書を読み耽り文学の知識を蓄積していった」。本屋の息子に生まれたかったと、私は、ずっと思っていました。
ジョンソンの結婚は、興味深いものです。親友が亡くなり、未亡人となったエリザベスと結婚したのです。「エリザベスは3人の子持ちで45歳で未亡人となる。数カ月後に、裕福な未亡人が十分な資金を提供することで、ジョンソンに結婚を持ちかけたとされている。二人は1735年7月に結婚するが、ジョンソン25歳、エリザベス46歳であった。ジョンソン語録に『金のために結婚するのは悪い人間であり、恋のために結婚するのは愚かな人間である』という有名な言葉があるが、これが自分自身を揶揄したものであるとすれば、けだし名言である」。
「ジョンソンが辞書編纂に忙殺される中、エリザベスは1752年3月に(病気で)亡くなるが、『英語辞典』は1755年4月に出版された。ジョンソンの辞書は英語世界に多大な影響を与えた金字塔ではあるが、独特な定義が散見される」。例えば、「パトロン」は、こう定義されています。「支援・扶助、または保護する人。通例、ぞんざいな態度で扶助し、お世辞を報酬とする浅ましい奴」。
「爾来、ジョンソンは『辞書のジョンソン』と呼ばれたが、『英語辞典』出版から約1年後の1756年3月に、どういう訳か5ポンド18シリングの未払いの負債で逮捕されている。『英語辞典』の出版では名声を得たが、経済的な豊かさは付いてこなかったようである」。
「1756年6月に『シェイクスピア全集』に取りかかり、1765年10月に刊行されたが、またたく間に売り切れて増刷となった」。
「1777年には『イギリス詩人伝』の編集に取りかかり、ミルトン、ドライデン、ポープ、スウィフトを始めとして17、18世紀の詩人52名を取り上げ、1779年から1781年にかけて2分冊で出版された」。
本書のおかげで、近寄り難かったジョンソンに親近感を覚えるようになりました。
旅行者のために、ジョンソンの住居、行きつけのパブなどの情報も写真付きで、ちゃんと掲載されています。「これらのパブは、『歴史が息づく街ロンドン』を実際に体感できる場所でもある」。