全国の14の温泉郷がイラストとエッセイで、ほのぼのと紹介されている・・・【情熱的読書人間のないしょ話(875)】
散策中に、日光浴をしている、青く輝くムラサキシジミの雌を見つけました。私が日光を遮ると、翅を閉じ、日の当たる場所に移動して再び翅を広げます。閉じた時の翅は、同じチョウとは思えないほど地味です。イチモンジセセリも日光浴をしています。我が家の真向かいは市立小学校です。久しぶりの晴天なので、休み時間には校庭から子供たちの元気な声が聞こえてきます。因みに、本日の歩数は10,858でした。
閑話休題、『物見遊湯(ものみゆうゆ)』(大田垣晴子著、新潮社。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)は、温泉好きには堪らない一冊です。
著者が実際に訪れた登別温泉、乳頭温泉、草津温泉、野沢温泉、渋温泉、大田区蒲田、箱根温泉、東伊豆縦断ふれあい温泉、南紀白浜温泉、城崎温泉、有馬温泉、道後温泉、人吉温泉、妙見温泉――が、イラスト・エッセイ(画文)で紹介されています。
ほのぼのとしたイラストとエッセイが、実にいい雰囲気を醸し出しています。ちょこちょこと本音が顔を出して、興を添えています。
私がこれまで訪れた温泉の中で上位にランクされる乳頭温泉は、その独特な秘湯ぶりが伝わってきます。これに続くコラム「混浴のススメ」には、笑ってしまいました。
私は、若い頃、仕事で人吉を何度か訪問したことがあるのですが、人吉温泉には行ったことがありません。昭和のレトロ感が残っている温泉場が数多くあります。「それぞれ味わいがあって、どの湯もいいですね――」。「そうですね――。なにより地元の人の生活に密着しているところがいいです。人吉が素敵なのは、観光温泉街ではなく、そこに人々の生活があるから」。人吉に行きながら、人吉温泉に足を延ばさなかったのは、返す返すももったいなかったと反省頻りです。
本書を読んで、どうしても行きたくなったのが、渋温泉です。「石畳に木造の建物が軒を連ねる、風情ある町並。温泉街情緒とっぷり」。「細い路地もいい雰囲気」。「いたるところにさりげなく建つ句碑は北斎の川柳(187ある)。渋は葛飾北斎が一時滞在していたので――」。「さらに足をのばして車で10分(冬期は遊歩道利用・30分)、地獄谷野猿公苑」。
その温泉に行ったことのある人も、これから行こうとしている人も、行きたいと思いながら、なかなか行けない人も、それぞれがそれなりに愉しめるユニークなガイドブックです。