榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

フランスの小さな村々の花の香りが漂ってくる本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(904)】

【amazon 『フランスの花の村を訪ねる』 カスタマーレビュー 2017年10月5日】 情熱的読書人間のないしょ話(904)

実物を見たいと熱望してきた葛飾北斎の娘・応為の肉筆画「吉原格子先之図」を、遂に間近で目にすることができました。明暗のコントラストが印象的な作品ですが、26.3cm×39.4cmしかありません。また、北斎のそれぞれの作品に秘められている「大嘘」、換言すれば、奇抜なアイディアや表現上の工夫・からくりが興味深く解説されています。大正13(1924)年築の木造の原宿駅(東京)から徒歩3分の太田記念美術館で、「葛飾北斎 冨嶽三十六景――奇想のカラクリ」展が開催されているのです。因みに、本日の歩数は10,941でした。

閑話休題、フランスのオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に住む日本人女性の手になる『フランスの花の村を訪ねる』(木蓮著、東海教育研究所)からは、著者が訪ねた小さな村々の花の香りが漂ってきます。

オーヴェルニュの人口が400人足らずのシャルローという小さな村では、どこまでも黄色いナノハナ畑が続いています。「菜の花畑に埋もれたこの村は、『最も美しい村』の一つです」。

ベルカステルという小さな村では、「なんともいえない美しい夕日が村を包み込み、リラの花と溶け合うがごとく美しい紫の世界を生み出してくれます」。「リラ特有のはちみつのように濃厚な甘い香りとともに花を腕の中に抱えると、なんともいえず幸せな気分になります」。夕日とリラが溶け合うような写真に身惚れてしまいました。

ニースとモナコの中間に位置する小さな村「エズに入るには、駐車場から急な坂道をのぼっていきます。6月半ばに訪れたときは、満開のジャスミンの甘い香りが出迎えてくれました。古ぼけた黄色い壁に、雪のように美しく絡みつくジャスミンの真っ白な花・・・。そんな花のつくり出す情景に、思わず目を奪われてしまいました」。大分以前のことですが、ふうふう言いながら、エズへの急坂を登ったことを懐かしく思い出しました。

プロヴァンスの「ロマネスク様式の簡素な(セナンク修道院の)建物の前に一面に広がるラベンダー畑は圧巻」です。

ムスティエ・サント・マリーという小さな村の見渡す限りのラベンダーには圧倒されます。「まさに紫の大地。地平線まで続いていそうなラベンダー畑を初めて見たときは、心から感動しました」。