榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

出口治明の書物の目利きは確かだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(998)】

【anazon 『リーダーは歴史観をみがけ』 カスタマーレビュー 2018年1月16日】 情熱的読書人間のないしょ話(998)

静岡・三島からの富士山は、風が強く、上空に厚い雲がありましたが、くっきりと見えました。三嶋大社では、源頼朝、北条政子の故事に思いを馳せました。神奈川・箱根湯本の丘の上の「かっぱ天国」の野天風呂では、温泉にゆっくり浸かりたいと八王子から来たという青年と温泉談議に花が咲きました。陽を受けた早川がきらめいています。アローカナという品種のニワトリが産んだ青色の卵を初めて目にしました。因みに、本日の歩数は11,859でした。

閑話休題、『リーダーは歴史観をみがけ――時代を見とおす読書術』(出口治明著、中公新書ラクレ)は、読書家として知られる出口治明の書評集です。

これまで、出口の書評に導かれて読んだ本は、いずれも読み応えのある、期待を裏切らない書物でした。歴史、リーダー論、宇宙論、生物、芸術など好みの分野が私と重なっていることもあるが、従来の定説に果敢に挑戦しているタイプの書に出口が魅力を感じる傾向に、私も共感を覚えるためでしょう。

本書で紹介されている5冊を、無性に読みたくなってしまいました。

第1は、『ユーラシア帝国の興亡』(クリストファー・ベックウィズ著)です。「本書は、ユーラシアの歴史を動かしてきたのは、精強な軍事力(騎馬軍団)を持つステップの遊牧国家であったという歴史の常識に挑んだ問題提起の書である。著者は、初期の中央ユーラシアの文化複合体を構成する重要な要素であるコミタートゥス(命をかけて支配者を守ると誓った戦闘集団)に注目する。・・・中央ユーラシア人が求めたのは、侵略ではなく、文化と交易だったのだ」。

第2は、『1493』(チャールズ・C・マン著)です。「コロンブスのアメリカ到達(1492年)によって、貴金属、病原菌、動植物、そして人間が大陸間を行き交い始め、世界は『コロンブス交換』によって『均質新世』の到来を迎えた。本書は4部10章にわたってコロンブス交換の凄まじき実相を余すところなく暴露していく。グローバル化はここから本格的にはじまったと著者は述べる」。

第3は、『殷』(落合淳思著)です。「本書は、甲骨文字の第一人者が、膨大な数の甲骨文字を読み解いて中国最古の王朝、殷(商)の実像を詳らかにしたものである。・・・殷については、酒池肉林に耽り殷を滅ぼした暴君紂王の逸話がよく知られているが、これは、殷滅亡後1000年以上を経過した後世の文献資料(『史記』など)に依る創作である。甲骨文字を分析すると、紂王(帝辛が本名)は、むしろ有能な君主であって、集権化を進めたため反乱を招いた様子が窺える」。

第4は、『周』(佐藤信弥著)です。「従来の中国の古代史は概ね司馬遷の叙述(史記)など伝世文献に依拠してきたが、当時の金文(青銅器に彫られたもの)や竹簡などの同時代資料が陸続と発掘されるにつれ、古代王朝の実像が少しずつ詳らかになってきた。著者は、伝世文献と出土文献をバランスよく渉猟し、周を読み解くキーワードとして祀(祭祀)と戎(軍事)を取り上げた。なるほど、切れ味はよさそうだ」。

第5は、『古代東アジアの女帝』(入江曜子著)です。「本書は、推古から持統までのわが国の女帝たちと、新羅の善徳、真徳女帝、唐の武則天、都合9名の7世紀に輝いた女帝の鮮烈な生涯を掘り起こし、東アジア史を読み直そうとした意欲的な試みである」。

これらの本から、どんな刺激が得られるのか、ワクワクしています。