榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

語調のよさ、格調の高さ、豊かな抒情性が際立つ上田敏の訳詩集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1073)】

【amazon 『海潮音』 カスタマーレビュー 2018年3月31日】 情熱的読書人間のないしょ話(1073)

コガモの雄と雌を近くからカメラに収めることができました。ミツバツツジが薄桃色の花をまとっています。ツツジとシャクナゲの交配種であるヨシノツツジの花は濃桃色です。セイヨウシャクナゲが赤い花、白い花を付けています。赤い花のボケ、一本の木なのに薄桃色と白い花を咲かせているボケを見かけました。我が家のモクレンは、咲き始めるのはよそより遅いが色が綺麗だと、女房が気に入っています。因みに、本日の歩数は10,989でした。

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閑話休題、『海潮音――上田敏訳詩集』(上田敏訳、新潮文庫)には、私の好きな詩が収められています。

ポオル・ヴェルレエヌの「落葉」。「秋の日の ヴィオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し。 鐘のおとに 胸ふたぎ 色かへて 涙ぐむ 過ぎし日の おもひでや。 げにわれは うらぶれて こゝかしこ さだめなく とび散らふ 落葉かな」。

カアル・ブッセの「山のあなた」。「山のあなたの空遠く 『幸(さいわい)』住むと人のいふ。噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて、涙さしぐみ、かへりきぬ。山のあなたになほ遠く 『幸』住むと人のいふ」。

ロバアト・ブラウニングの「春の朝」。「時は春、日は朝(あした)、朝は七時、片岡に露みちて、揚雲雀(あげひばり)なのりいで、蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し」。

フランス近代詩を訳したものですが、思わず口ずさみたくなるような語調のよさ、風雅な言葉が生み出す格調の高さ、情景をありありと浮かび上がらせる豊かな抒情性――は、訳詩という段階を超えており、上田敏(びん)自身の創作と言ってもよいほどです。