榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

声を出せない施設育ちの掃除婦と、得体の知れない水生生物との恋・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1126)】

【amazon DVD『シェイプ・オブ・ウォーター』 カスマタマーレビュー 2018年5月22日】 情熱的読書人間のないしょ話(1126)

森の方から聞こえてくるホトトギスの特徴ある鳴き声で目が覚めました。この森にはウグイスがたくさん棲息しているので、ウグイスに托卵するホトトギスにとっては理想的な場所なのです。スイレンが白い花を、センダンが淡紫色の花を、キキョウが紫色の花を咲かせています。ソメイヨシノが深紅色の実を、ニワトコが赤い実を、モミジイチゴが橙色の実を付けています。因みに、本日の歩数は12,033でした。

閑話休題、ファンタジー映画は私の不得意分野ですが、『シェイプ・オブ・ウォーター』(DVD『シェイプ・オブ・ウォーター』<ギレルモ・デル・トロ監督、サリー・ホーキンス、リチャード・ジェンキンス出演、20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン)には、愛の本質について考えさせられました。

ヒロインはある研究所の掃除人で、他人の声は聞こえますが、声帯を切られているため声を出すことができません。施設で育った過去も明らかになります。

ある日、研究所に南米のアマゾンで捕獲された人間に似ている水生生物が運び込まれます。ヒロインと、鎖に繋がれプールで飼われている生物は手話らしきものを通じて心を通わせていきます。

軍事目的で生物が生体解剖されることが決定したと知ったヒロインは、生物を海に逃がしてやろうと、敢然と行動を起こします。彼女に協力してくれる人も現れますが、これだけの大事がそう簡単に進むわけがありません。その結果は・・・。

恵まれているとは言えない境遇下の、美しいとは言いかねる女性と、水生生物が愛を交わすことができたのは、両者の間に「言葉」というものがなかったからでしょう。ヒロインは、言葉に頼らずに、本当の自分をまっすぐ見てくれる相手を愛してしまったのです。

人間同士の場合も、本当の自分をまっすぐ見てくれる人と出会えることは幸運と言えますね。