倉本聰と共に、セックス、貧幸、畑の肉について考える・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1168)】
アンスリュームの赤色、桃色、白色の仏炎苞は光沢があります。サンタンカが朱色の花を咲かせています。メディニラ・スペキオサが桃色の花を付けています。コエビソウは、薄赤色の苞から白い花が顔を覗かせています。我が家の向かいの小学校から子供たちの元気な声が聞こえてきます。因みに、本日の歩数は10,495でした。
閑話休題、『愚者が訊く(その2)』(倉本聰・林原博光著、双葉社)は、「愚者」倉本聰が9名の「賢者」に専門領域の話を聴くというスタイルの対談集です。
石弘之との対談「人口増加と人間の命との関係」では、セックスが語られています。「●倉本=先生の御本の中に、セックスに興味を持たなくなった日本の若者が、非常に増えてるとあったンですが、それはホントなンですか? ●石=ヨーロッパのコンドーム会社が、もう十数年間も続けているんですけど、『あなたは年間何回セックスをしますか?』っていうアンケート調査の統計があるんですよ。●倉本=ほおーー。何回なンですか? ●石=103回が世界の平均。だから3~4日に1回は頑張っている。・・・日本が、45回でぶっちぎりの最下位です。・・・ところが、『過去1年間に売買俊をしたか』という問いだけは、13.6%で日本男性がトップなんですね。もう日本の男は『正常な』セックスをやめちゃったんですよ」。
「●石=その雑誌の別の特集の、世界のどの国の男が一番セクシーか? ってアンケートで、日本は尻から2番目。・・・逆に日本の女性は世界のトップクラスの人気なんですよね。魅力的でいい奥さんになるって。●林原=いやホント、最近の日本の若者は、セックスに興味を失ってますね。若いやつと話してても、めんどくさい! って言うんですよ。めんどくさいことはものすごく嫌いますからね、若い連中は」。
稲垣えみ子との対談「幸せな節電生活」では、「貧幸」という聞き慣れない言葉が登場します。「●林原=稲垣さんの話聞いてると、倉本が作った『貧幸』っていう言葉を思い出しました。●稲垣=ヒンコー? ●倉本=『歸國』っていう芝居書きましてね。第2次大戦で死んだ英霊が戻ってきたら、今の日本をどう思うだろうと。お國のために、家族や子孫の幸せを願って死んだのにっていう。その英霊が、その今の世の中の人間に対して云うセリフで、昔の我々の時代は、貧幸という言葉があった。貧しくても幸せっていうのはあるンだと。で今の日本は、豊かかもしれないけど、幸せなのかって、そう詰問するシーンがあって、●稲垣=うんうんうん。●倉本=貧しい幸せ、と書いて貧幸という言葉を造語しちゃったンですね。そういうものがあってもいいという気がして。・・・足るを知るというか。今に満ち足りるという状態が『幸せ』という状態なンじゃないかなって気がするンですよ。・・・●稲垣=みんな、ものがあることが幸せだと思い込んでるようですけど、なくても幸せだってことがあり得るっていうことに気付くことがまず大事だと思うんですね。倉本さんの『貧幸』っていう言葉も、だから実感として分かる気がします」。
小泉武夫との対談「発酵食品が育てた日本人の体と心」では、「畑の肉」の威力が明らかにされます。「●倉本=肉を食べない江戸時代の人は、身体に必要なタンパク質はどうしてたンですか? ●小泉=いや、少なくても大丈夫なんです。それはなぜかと言いますとね、日本人は肉と全く同じものを食べてきたんです。奈良時代から。●倉本=何ですか? ●小泉=大豆です。和牛の平均タンパク質は17~19%です。大豆のタンパク質は17~18%です。全く同じなんです。●倉本=ほー! ●小泉=ですから、昔の人たちが、大豆は畑の肉だって言ったのは、全く間違いないんです。それで江戸時代は大豆でものすごいスタミナ食を作ってたんですよ。昔の旅はどこに行くにももちろん足で、中山道なんか坂だらけですから、大変体が疲れるんです。タンパク質が必要です。それで、旅籠では、強烈なスタミナ食を朝旅立つときと、夕方旅籠に着いた旅人に振る舞いました。だから旅人は、それを1日2回食べてたんです。そのスタミナ食は何かというと、今言ったように、大豆=肉なんですよ」。このスタミナ食の正体は、ひきわり納豆を溶かした、豆腐と油揚げの味噌汁だそうです。我が家の食膳には、毎朝、味噌汁と納豆が出ますが、これからは、朝晩、納豆を食べるようにしようよと女房に提案し、OKが得られました。