榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

邪馬台国から、「謎の四世紀」、「倭の五王」を経て、継体天皇までなら、この一冊でOK・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1271)】

【amazon 『謎の四世紀と倭の五王』 カスタマーレビュー 2018年10月15日】 情熱的読書人間のないしょ話(1271)

散策中、鳴き声を上げているヒヨドリの若鳥を見つけました。ピンクノウゼンカズラが薄桃色の花を咲かせています。セイタカアワダチソウが風媒花でなく、虫媒花である証拠写真を撮ることができました。キンケハラナガツチバチの雄が吸蜜しています。女房の手に比べると、カボチャの大きさが分かります。いよいよハロウィーンが近づいてきましたね。因みに、本日の歩数は10,202でした。

閑話休題、『謎の四世紀と倭の五王――図説 『日本書紀』と『宋書』で読み解く!』(瀧音能之監修、青春新書インテリジェンス)は、邪馬台国から、「謎の四世紀」、「倭の五王」を経て、継体天皇に至るまでの日本歴史の知識を整理するのに恰好の一冊です。その理由は、3つあります。

理由の第1は、それぞれのテーマが、数ページで簡潔に解説されていることです。

第2は、異なる学説の紹介が公平になされていること、そして、それに対する筆者の見解が直截に表明されていることです。

例えば、邪馬台国については、このような具合です。「現在は(九州説より)機内説のほうが優勢であるため、邪馬台国がヤマト政権へ発展したとする見解がより多くの支持を集めているが、まだ確定したわけではない」。因みに、私は自信を持って、九州説を熱烈に支持しています。

「倭の五王」については、このようです。「5人の王(=讃、珍、済、興、武)のうち3人(=済、興、武)についてはほぼ確定されている。・・・(讃、珍について)近年は雄略天皇と同様に諱を用いた命名法による考察や、巨大古墳の被葬者たちを五王とみなす考察なども行なわれている。しかし、どれも確実とはいえず、五王の正体はいまも結論をみないでいる」。

継体天皇については、近年の研究成果が紹介されています。「継体天皇陵とされる今城塚古墳は、それまでの天皇陵があった大和南部ではなく北部に築かれている。また、当時は継体天皇の出自がはっきりしていなかった。そうしたことから、継体天皇が前の王朝を倒して、新王朝を樹立したのではないかと考えられたのだ。しかし近年、『日本書紀』より古い『上宮記』において、応神天皇から継体天皇までの系譜が確認され、継体天皇の出自が明らかになり、簒奪による王朝交替はなかったとの見方が優勢になっている」。

第3は、図説、写真、文章が三位一体となって理解を助けてくれることです。