「死ぬこと以外かすり傷」と腹を据えれば、何でもできるぜ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1373)】
昨夜は、スーパームーンを眺めることができました。耕地の電柱の天辺に止まっている野鳥を撮影しました。嘴の鋭さと、スピードのある直線的な飛び方から猛禽類とは思うものの、種名が分かりません。そこで、猛禽類に造詣の深い紺野竹夫氏に問い合わせたところ、逆光なので確定的なことは言えないが、シルエットからコチョウゲンボウの可能性が高いとの回答が得られました。ツグミ、シジュウカラをカメラに収めました。因みに、本日の歩数は10,295でした。
閑話休題、『死ぬこと以外かすり傷』(箕輪厚介著、マガジンハウス)という書名は、実に秀逸です。ヒットを飛ばし続けている若き編集者が、嫌みのない自慢話を交えながら、若者に檄を飛ばしているのだが、その主張全体を「死ぬこと以外かすり傷」という言葉が見事に代表しているからです。このように腹を据えて、何であれ、好きなことを好きなようにやりまくれというのです。
「『知っている』と『知らない』の間にとてつもなく太い川が流れているのだ。・・・恵まれたこの国に生まれながら、スマホという世界中の情報を知ることができるツールを持っていながら、『意識高い系』などと他人を揶揄し、知ることすら敬遠する愚かな者になってはいけない。スマホゲームで人生を消費するな。知っているということが、いずれ必ず武器になる。分断された世の中だからこそ、情報を浴び、知を獲得しろ。意識くらい、高く持て」。
「会社の文句を言うサラリーマンが僕には信じられない。つまり、僕は幻冬舎というフィールドで『金』ではなく箕輪厚介という『ブランド』を稼いでいるのだ。幻冬舎の社員としてベストセラーを出し名前が売れることでオンラインサロンのメンバーが増える。プロデュースの依頼が来る。自分の名前でやる仕事が増える。副業解禁が話題だが、休日に牛丼屋でバイトをして小銭を稼いでも意味がない。それは時間を金と交換しているだけ。本業を頑張って力をつけるのが先だ。自分はその仕事で何を稼いでいるか明確に言語化すべきなのだ。僕は幻冬舎では『ブランド』を稼いでいる。1時間50万円のコンサルでは『金』を稼いでいる。地方講演はノーギャラだが『未来』を稼いでいる。地方に仲間を作ることは僕がこの先やることで重要な役割を果たすからだ。これからは、複数の仕事をこなすことが当たり前になる。しかし『金』という軸だけで考えてしまっては多様で厚みのある経験は積めない。自分が金以外の何を稼ぐかポートフォリオを組んで思考せよ」。
「メジャーリーガーは、試合で活躍しヒーローインタビューをされる自分の姿を事前にイメージするそうだ。・・・逆説的にだが、ヒーローインタビューまで想定して仕事をすれば、生半可なことはできなくなり、一つ一つの行動が変わる。そして、それが実際の伝説を呼び起こすのだ。伝説を伝えるまでが仕事である」。私の長い企業人時代の経験に照らしても、この方法は効果抜群です。私も、常に、ヒーローインタビューをイメージしながら、仕事をしていたからです。予め、その発言原稿を準備し、スピーチの予行演習さえしていました。
「僕のオンラインサロン『箕輪編集室』で言えば、『死ぬこと以外かすり傷』というスローガンに共感できる人が1300人集まってライティングやデザイン、動画制作などのクリエイティブな活動をしている。僕のファンクラブではない。僕はあくまで『死ぬこと以外かすり傷』という言葉をリアルな世界で体現している象徴にすぎない」。
「落合陽一『日本再興戦略』(の帯コピー)も同じ。本の具体的な中身など説明しない。帯には僕が好きな彼のツイートをそのまま載せた。『ポジションをとれ。批評家になるな。フェアに向き合え。手を動かせ。金を稼げ。画一的な基準を持つな。複雑なものや時間をかけないと成し得ないことに自分なりの価値を見出して愛でろ。あらゆることにトキメキながら、あらゆるものに絶望して期待せずに生きろ。明日と明後日で考える基準を変え続けろ』。本の中身が伝わらなくてもいい。僕がこの言葉をただ好きなのだ」。私も『日本再興戦略』を読んだが、この帯のコピーが同書の魅力を遺憾なく伝えています。
「『自分が作りたい本を作れれば売れなくてもいい』とロマンを語る編集者がよくいる。その気持ちは分かる。僕もそうだ。しかし作りたい本を作るための土壌はまず自分で整えなくてはいけない。好き放題をやり続けるには、金がいるのだ」。
「『努力は夢中には勝てない』という方程式は、編集者に限らずすべての仕事に共通する。目の前のことにどれだけ夢中になれるか。熱狂できるか。夢中の前ではどんな戦略もノウハウも無力だ」。全く、同感です。私は「夢中」、「熱狂」の代わりに、「情熱」という言葉を愛用していますが。