どうやったら子どもにとって勉強が楽しくなるのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1716)】
ヒイラギナンテンの蕾、タカサゴユリの花と裂開した果実、ツデータマシダの葉、紅葉したドウダンツツジをカメラに収めました。因みに、本日の歩数は10,626でした。
閑話休題、『「変」なクラスが世界を変える!――ぬまっち先生と6年1組の挑戦』(沼田晶弘著、中央公論新社)は、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(沼田晶弘著、中央公論新社)の続篇です。『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』が「2代目世界一」東京学芸大学附属世田谷小学校3年1組~4年1組の成長物語であるのに対し、本書は「5代目世界一」5年1組~6年1組の物語です。
「ダンシング掃除は、クラス全体が生き物のように一つのチームとして動くシステムです。ひとりひとりが全体を見ながら、自分のなすべきことを判断して行う。その結果、チームとして最高のパフォーマンスが発揮できる。ピッチ上のサッカーチームに似ているかもしれません。傍からは遊びにも見えるかもしれないダンスは、その『チーム感』をアップするための重要な要素です。ボクが与えた目標はただ一つ、『曲が終わるまでに掃除を終える』ということだけです。あとは子どもたちが自分で考え、勝手にシステムを改善していったんです。子どもには、そういうすごい力が自然に備わっているのです。・・・ボクは掃除ひとつでも、『みんなで力を合わせて働くことの楽しさ』や『社会の中で主体的に自分の責任を果たす大切さ』は学ぶことができると思っています。さらに、毎日リミット時間内で掃除を達成するという成功体験の積み重ねも大きい。ダンシング掃除は、いろいろな意味で、ボクのクラスに必要不可欠な学びのシステムの一部になっているのです」。
「小学校の先生になった今、『どうやったら子どもにとって勉強が楽しくなるのか』をいつも考えています。そこでボクが編み出した作戦が『アナザーゴール』です。遠い最終ゴールでなく、目の前に達成しやすい『もうひとつの小さなゴール』を出してあげる。それがクリアされたら、少し先にまた別のゴールを出す。これを繰り返しているうちに、あら不思議、いつのまにか大きな最終ゴールにたどり着いているというわけです。・・・アナザーゴールその1は、『勝手に』という言葉の面白さです。・・・アナザーゴールその2は、『○○を調べよう』ではなく『パワポ(パワーポイント)でプレゼンしよう』というところです。子どもはパソコンを使うのが大好きです。しかも飲み込みが早い。初めてのソフトでも、すべてのコマンド、あらゆるボタンをどんどん試していきます。この辺の好奇心の強さは大人の比ではありません、・・・アナザーゴールその3は、『社会のお勉強』でなく、あくまで『プレゼン力コンテスト』にしてしまったことです」。
「有名な英語のことわざにこういうものがありあす。You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.(馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない)。・・・では『馬に水を飲ませる』にはどうしたらいいでしょうか。いろいろ考えてみましょう。①水をおいしくする。②あらかじめ喉を渇かせておく。・・・②の方がはるかに効果的でしょう。・・・ボクが心がけているのもこれです。さらに考えてみましょう。③周りの勢いで一気に飲ませる。・・・④馬と馬を引いてきた人との信頼関係を深める。・・・馬が水辺に到着してからでは間に合わない。本物のアクティブ・ラーニングの花を咲かせるには、その前に種を蒔いたり、芽を育てたりする必要があります。それは授業だけでなく、教室の運営そのものに関わってくる問題です。・・・自分から勉強したくなっちゃう、議論したくなっちゃう、作文を書きたくなっちゃうような『状況』を作ってあげればいい」。
前著に劣らず、学ぶことの多い一冊です。