榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

文豪たちの練達の言葉づかいを真似て使ってみよう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1890)】

【amazon 『文豪のすごい言葉づかい辞典』 カスタマーレビュー 2020年6月16日】 情熱的読書人間のないしょ話(1890)

オオシオカラトンボの雄、雌、コシアキトンボをカメラに収めました。スズメバチ・トラップに10匹近いオオスズメバチが捕らえられています。陶器市が開かれています。因みに、本日の歩数は13,135でした。

閑話休題、『文豪のすごい言葉づかい辞典』(山口謡司監修、宝島社)は、日本の文豪たちの練達の言葉づかいを真似て使ってみようと呼びかけています。

「文豪の文章を読んでいて感じるのは、ありふれた言葉を何気なく使っているように見えても、じつはその言葉の持つ深い意味を知って使っていることである。本来の意味を知って言葉を使うのと、知らずに使うのとでは、言葉の強さにも差が出ることは明らかであろう。はたして文豪の文章を読んでいて思うのは。こうした語彙を彼等が難なくサラリと使うことの凄さである。サラリと使われているから、読者はほとんどそれを感じることができない。辞書を引くまでもなく忘れてしまい、だから読者の身に付くことがない。本誌では、そうした文豪の語彙を解説し、実際に使ってみてはどうだろうという提案をしたいと思う。真似から初めて、是非、文豪の語彙力を身に付けて頂きたいと思うのである」。

●謦咳(けいがい)に接する(尊敬する人、貴い身分の人の話を直接聞くこと)
【よくある言い方】お目にかかれて、光栄です。
【絶妙な言いまわし】謦咳に接することができ、幸甚(こうじん)に存じます。

●秀雅(しゅうが)(ほかよりも一段と美しく、雅なこと。大変に優雅なさま)
【よくある言い方】上品な美しさを、見習いたいです。
【絶妙な言いまわし】秀雅さを、見習いたいものです。

●懇親を結ぶ(親しく交際する。親しみ合う。非常に親しいさま)
【よくある言い方】仲良くなりたいです。
【絶妙な言いまわし】懇親を結ばせていただきたく存じます。

●得難き機会(ありえないほどの確率でめぐってきたチャンスのこと)
【よくある言い方】めったにないチャンスをいただいて、光栄です。
【絶妙な言いまわし】得難き機会を与えていただき、光栄です。

●厚誼(こうぎ)(深く親しむ気持ち。相手の親切に対して敬った表現)
【よくある言い方】親しくしていただきまして。ありがとうございます。
【絶妙な言いまわし】平素よりご厚誼を賜り、感謝申し上げます。

●海容(かいよう)(相手の罪や過ちを許すこと)
【よくある言い方】この度は失礼をいたしまして、申し訳ございませんでした。
【絶妙な言いまわし】この度の失礼の段、ご海容くださいませ。

●忸怩(じくじ)(自分の言動について、心の内で深く恥じ入ること)
【よくある言い方】この度は大変なご迷惑をおかけいたしまして、深く反省しております。
【絶妙な言いまわし】この度は大変なご迷惑をおかけいたしまして、忸怩たる思いに至りました。

●甘受(かんじゅ)(仕方なく、不本意だが、受け入れること)
【よくある言い方】強く要求されて、受け入れてしまいました。
【絶妙な言いまわし】先方の熱意に負けて、甘受せざるをえませんでした。

●蒙昧(もうまい)(知識がなく、ものの道理がわからないこと)
【よくある言い方】自分の愚かさに、我ながらあきれてしまいます。
【絶妙な言いまわし】自分の蒙昧さに、我ながらあきれてしまいます。

●吃驚(きっきょう)(不意の出来事に驚き、動揺すること)
【よくある言い方】先生からのお知らせにとても驚きました。
【絶妙な言いまわし】先生からのお知らせを頂戴し、吃驚いたしました。

●恬然(てんぜん)(静かで安らか、穏やかなさま)
【よくある言い方】私は日々穏やかに過ごしています。
【絶妙な言いまわし】私は何ごとにも動じず、日々恬然と過ごしています。

●蒼惶(そうこう)(慌しいさま、慌てふためいているさま)
【よくある言い方】事態が急変し、慌てて対応に着手しました。
【絶妙な言いまわし】事態が急変し、蒼惶と、対応に着手いたしました。

●起居(ききょ)(①日常生活を送ること。②動静や安否のこと。③起き上がること)
【よくある言い方】おかげさまで、どうにか暮らしています。
【絶妙な言いまわし】おかげさまで、どうにか起居しております。

●瀟々(しょうしょう)(雨が激しく降っている様子)
【よくある言い方】雨がザーザーと降っています。
【絶妙な言いまわし】瀟々と雨が降っています。

●薫風(くんぷう)(若葉や青葉の香りのするような初夏の風)
【よくある言い方】初夏の風が肌に心地よい季節となってまいりました。
【絶妙な言いまわし】新緑の梢をわたる薫風が快い季節となってまいりました。

●陰翳(いんえい)(よく見えない、物事の源流にある価値のあるもの)
【よくある言い方】古い寺は、趣があっていいものです。
【絶妙な言いまわし】古い寺のたたずまいを陰翳が味わい深くしています。