榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

こういう角度から日本語を見ることもできるのだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(602)】

【amazon 『日本語の豊かな使い手になるために』 カスタマーレビュー 2016年11月30日】 情熱的読書人間のないしょ話(602)

散策中に、緑色の地に白い縞が目立つ直径3cmほどの実を付けたオキナワスズメウリを見かけました。熟すと赤くなります。ブラックパール(クロトウガラシ、クロバトウガラシ)の真珠のような光沢のある赤い実は熟すと黒く変化します。直径15cmほどのシシユズ(オニユズ)の実が生っています。これはユズの仲間ではなくブンタン(ザボン)の仲間です。アトランティックジャイアントと呼ばれるこのセイヨウカボチャは重量が54.6kgもあります。イトラン(ユッカ)が白い花を、ツワブキが黄色い花を咲かせています。花が桃色と白色のサザンカはよく見かけますが、遂に赤色のサザンカを見つけました。白いツバキが咲いています。直径20cmもある皿のようなキノコを見つけました。南西の方向の空で宵の明星(金星)が輝いています。因みに、本日の歩数は10,703でした。

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閑話休題、『日本語の豊かな使い手になるために――話す・聞く・読む・書く』(大岡信著、講談社+α文庫)は、練達な言葉の使い手・大岡信の著作だけに、いろいろと勉強になりました。

民話などのさまざまな読み方について。「『お伽草子』などは多義性が豊富にあります。悪いやつがとても気だてがよかったり、善良そうな人間がじつはずる賢かったり・・・。酒呑童子なんていうのは極悪非道の鬼なんですが、源頼光にはかられて殺されるとき、悲しい顔をして『鬼神に横道なし』と言う。つまり、『おれは鬼としてまともに生きていただけなのに、おまえは山伏の姿をしてやってきて、だまして酒を飲ませて殺すようなよこしまなやつだ』と。お姫さまを何人も食ってしまうような悪いやつが『鬼としてまともに生きていただけだ』なんて言う。いままで、お姫さまの首をちぎり、手足を食いちらかしてきた酒呑童子のことを『この悪魔め』と思っていたのが、『鬼神に横道なし』と言われれば、話を聞いたり読んだりしている人たちは、はっとして、ある種のカタルシスを感じたのではないでしょうか。少なくともぼくはそうでしたね。感動さえしました。お伽草子のセオリーには、一方が善で一方が悪という原理はない。すべて悪を営むやつも天然自然の法則によっているのであって、その心情には感じるところがある。泥棒にも三分の理があるのだ、という原理が貫かれているのです』。

書くということについて。「書くということには、まさに子どもを産むのと同じ要素があると思います。ある意味でエロスと関係のある、セクシュアルなものだと思います。ぼくは、ある狭いところを通過して、外へポンと飛びでる。狭いところを通過するその瞬間はひじょうに苦しいけれど、それを通りぬけたときに、すばらしい快感が生まれる。だからこそ、言語の問題は、人体の生理の問題と密接にかかわっていると思うんです」。納得のいく文章が書けたとき、私もこれと同じような快感を味わっています。

五七五調について。「日本語の単語の基本的な音数に深い関係はあるだろうと思います。日本語でいちばん多いのは二音と三音の単語です。二音プラス三音で五音、二音プラス三音プラス二音で七音ということになって、単語のつながりとしていちばん安定するからでしょう。しかし、歌う場合は、四音とか六音とか八音とかの組みあわせのほうがリズムに乗るようですね」。

朗読について。「朗読が子どもたちに届くかどうかというのは、朗読のうまい・へたの問題ではなく、先生と子どもたちが対話できているかどうかの問題だと思います。先生自身が気持ちよく朗読できないで、子どもたちの気分がよくなるわけがないですよね。ぼくは朗読の本質は対話だと考えているのです」。読み聞かせヴォランティアを始めた私には、大変参考になりました。