人間臭いミツバチ、働きバチはよく眠る、ダンス言葉を読み解くミツバチ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2014)】
あちこちで、さまざまな色合いのキノコを見かけました。
閑話休題、『びわ湖の畔のニホンミツバチ――マキノの里でともに暮らす日々』(尼川タイサク著、サンライズ出版)は、琵琶湖畔でニホンミツバチの養蜂に取り組む著者の4年間を綴ったエッセイ集です。
「人間臭いミツバチたち」には、こんなことが書かれています。「人は、時として会議好きだったり、ニコチン中毒、あるいはストレスでうつ病になったりすることもある。それがミツバチにもあるかもしれないというと意外に思われるだろうか。・・・ミツバチもニコチンと悩ましい関係に陥っている。化学的にはニコチン系に属する殺虫剤ネオニコチノイドが、世界的なミツバチ減少の主な要因の一つといわれて久しい。こともあろうに、その新農薬にミツバチが惹かれる傾向があることが報告されて、私もだが多くの人が驚かされた。それまでは、ミツバチは農薬を感知して避けるという楽観的な見方もあったからだ。先の研究では、残念ながら逆に惹かれて毒を摂取してしまうという結果が出た。脳神経が依存症みたいな影響を受けるのだろうか」。
「働きバチはよく眠る」も、意外です。「昼間、花蜜や花粉を探して飛び回る働き者のミツバチは夜も寝ないという話をよく聞く。だが、働きバチについていえば、実は夜にはよく眠るらしい。あたりが暗くなると巣箱の出入りがなくなり、静かになる。のぞき窓から見ていると、たしかにじっとしているものが多いが、体を動かしたり、触角を動かしたりするものもいる。・・・眠り方のちがう若バチと熟年バチでうまく役割分担しているのだろう。だから、昼間に大活躍して今や眠りこけている外勤姉さんたちにかわって、若バチたちが巣箱不夜城のなかで(花蜜の濃縮、室温維持、子育てなどの)夜勤につく。むろん2、3時間ほど働いて疲れたら適当に短時間の休みをとる」。
「ダンス言葉を読み解くミツバチの脳」にも、驚かされます。「ダンス解読の話に戻ろう。巣の中は昼でも暗闇なので眼が使えず、音や振動が情報伝達の主な手段になる。ダンサー(偵察バチ)の尻振りダンスは蜜源などの場所までの距離と方角を表す。・・・距離と方角が分かれば、特定の一地点が指示される。ダンス言葉を成り立たせる仕組みが、あの小さなミツバチ脳にあることが解き明かされつつある。我が家のニホンミツバチたちにもこの回路はあるのだろうか」。