榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

私が勝手に選んだ、へんてこ生物ベスト3は、彼らだ!・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2059)】

【読書クラブ 本好きですか? 2020年12月3日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2059)

コサギ(写真1~5)が熱心に羽繕いしています。カワウ(写真6)、オオバン(写真7)、ハクセキレイ(写真8、9)、シジュウカラ(写真10、11)をカメラに収めました。

閑話休題、『すごい! へんてこ生物(ヴィジュアル版)』(NHK「へんてこ生物アカデミー」制作班監修、祥伝社新書)には、へんてこ生物が全員集合しています。

私が勝手に選んだ、へんてこ生物ベスト3は、「高スペックのカモフラージュ――モンウスギヌカギバ」、「脳はなくとも賢いやつ――モジホコリ」、「自給自足のスローライフスタイル――ナマケモノ」です。そして、「深海で繰り広げられるディープな愛のカタチ――チョウチンアンコウ」には、見逃せないことが書かれています。

●モンウスギヌカギバ――。
「モンウスギヌカギバは、日本の本州、四国、九州をはじめ、中国、インド、マレーシアに生息するカギバガ科のガである。擬態テクニックの高い昆虫は多くいるが、モンウスギヌカギバのカモフラージュの巧みさは別次元なのかもしれない」。「翅にイラストレーターが描いたようなハエの模様をつけて、『私はハエがとまるような鳥のフンにすぎませんので、天敵さん、どうか見逃してください』とアピールしているというのです。想像のはるか斜め上をいく『フンへの擬態』・・・」。写真を見れば、フンもさることながら、そのハエがまるで生きているようにリアルなものであることが分かります。しかも、2匹も。

●モジホコリ――。
「モジホコリとは、雑木林や街路樹の根元、落ち葉や朽ち木の表面などに生息する黄色い粘菌で、数センチから時には1メートルまでに巨大化する。・・・むろん単細胞生物のモジホコリには、脳も神経もない、しかし、たったひとつ細胞からできている単細胞と侮ってはいけない。モジホコリは、状況によってさまざまな『知性』を示すのである。それを証明したのが、中垣(俊之)教授の迷路の実験だった。モジホコリを小さく分けて、3センチ四方の迷路に置くと、広がって互いに合体し、入り込める空間はすべてモジホコリで満たされる、次に、迷路の入り口と出口それぞれに、エサを置いて観察する。すると、しだいにモジホコリは形を変えて、入り口と出口を結ぶ最短のルートをつなぐ形になったのである。単細胞生物なのに、なぜ、迷路を解くことができたのだろうか。それは、モジホコリの体の仕組みに関係があった。モジホコリは、体に流れる栄養分が多いと太くなり、少なければ細くなり消えていく。つまり、栄養分をもっとも効果的に運ぼうとしたモジホコリの『知能』によって、ふたつのエサを結ぶ最短ルートが残ったというわけだ」。

●ナマケモノ――。
「ナマケモノは体を覆う長い体毛をもつが、季節によってその毛色を変化させる『ファッショニスタ』でもある。雨期には緑色に、乾期には褐色の毛をまとうのだ。じつは緑色に見えるのは藻。・・・ふだんはほとんど動かないナマケモノだが、1週間に1度、ある目的で木から下りてくることがある。それは排便のため。ナマケモノが木を下りて、一ヵ所にまとまったフンをすると、そこにクリプトセスという特殊なガが卵を産みつける。フンの上で卵がかえると、孵化したガは、樹上のナマケモノに飛んでいき、毛をすみ家とする。そしてガがフンをすると、今度はその成分を栄養として藻の成長が活発化する。ナマケモノは、自分の毛の上で、藻を意図的に育てていたのだ。さらになんと、その藻はナマケモノの食料にもなる。つまりガの力を借りて、ナマケモノは自らの体に畑をつくっていた。まさに究極の自給自足生活である。ただの『怠け者』ではなかったナマケモノ。長い体毛と、落ち着いた動作で、まるで森の仙人のようなナマケモノは、仙人も真っ青な、生きる深い知恵をもっていた」。

●チョウチンアンコウ――。
「よく巷では、チョウチンアンコウはオスの組織がメスの体の一部になったり、吸収されたりするという話が都市伝説のように語られるが、それは誤りである」。チョウチンアンコウに関する私の知識を修正しないといけないのだろうか。