息を呑むほど美しい昆虫たちの大型写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2084)】
さまざまな色合いのシクラメン(写真1~8)が咲き競っています。ストレプトカーパス(写真9)が白い花を咲かせています。セイタカアワダチソウ(写真10、11)の実(痩果)に冠毛が付いたものが無数に密集しています。4年前の夏、撮影助手(女房)が見つけたアカスジキンカメムシ(写真12)です。
閑話休題、『驚異の標本箱――昆虫』(丸山宗利・吉田攻一郎・法師人響著、KADOKAWA)は、息を呑むほど美しい昆虫たちの大型写真集です。深度合成撮影という技術が駆使されています。
●プラチナコガネ、ウグイスコガネの箱――。
「このなかまは中南米に生息し、多くの種は緑色だが、金属のような光沢を持つものが属内で複数回進化している。金属のようなものでも、種によって銀色のもの、金色のもの、赤みを帯びた金色のものなど、種や個体によってさまざまである」。
●世界最美 ハンミョウ――。
「ハンミョウは世界中に生息し、きわめて高い飛翔と走行の能力をもつ甲虫の一群である。俊敏に動きまわり、発達した眼で小さな昆虫を見つけて捕食する。本種は日本を代表する大型のハンミョウであり、その美しさは世界のハンミョウのなかでも最高のものとされている」。
●カエルの声で鳴く ハラブトゼミ――。
「オーストラリアは他の大陸から独立した歴史が長く、多くの生物が独特の進化をとげている。私たちにとって身近なセミでさえ、とんでもない姿のものがおり、その代表がハラブトゼミである。雌雄とも全身が美しい緑色で、雄は非常に大きな空洞の腹部を持ち、そこに音をひびかせて大きな声で鳴くという。そしてその声はある種のカエルにそっくりである。カエルは鳴嚢という袋に音をひびかせるが、音の響かせ方が共通するためかもしれない」。
●日本最小 クサゼミ――。
「本種は南西諸島に生息する日本最小のセミで、緑色の翅脈が美しい。写真では団扇状の大きな腹弁の下に白っぽい鼓膜がのぞいているのがわかる。また、複眼の間にある単眼(光を感じる目)はルビーのように美しく、セミがもつ秘めたる美点である」。
●輝く鼓膜 イナゴ――。
「実はほとんどの昆虫はなんらかの音を出しているといわれている。人間に聞こえないだけで、虫たちの世界は案外騒々しいらしい。その証拠に多くの昆虫には発音器があり、それを聞く耳のような器官がある場合もある。バッタにも当然鳴くものがいるが、多くは人間の耳にはわからない。このイナゴも、私たちが耳を澄ましても何も音を出していないように思えるが、翅の付け根の近くには立派な鼓膜がある。きっと仲間どうしで音を使って交信しているのだろう。それにしてもなぜ虹色に輝いているのだろうか」。今度、イナゴを捕まえたら、虹色に輝く鼓膜を観察したいと考えています。
●生きているときだけの輝き キンカメムシ――。
「キンカメムシは東南アジアを中心に多くの種が生息する美しいカメムシのなかまである。アカスジキンカメムシは一見珍しそうに見えるが、さまざまな植物の汁を餌とするため、よく探すと街中の公園でも普通に見つかる。美しい色彩だが、これは水分と油分によって発色した構造蜀であり、死ぬと赤も緑もくすんだ色となってしまう。まさに生きているときだけの輝きである」。4年前の夏、撮影助手(女房)が「ペンダントみたいに綺麗な昆虫がいる!」と、アカスジキンカメムシを見つけた時のことを思い出しました。