燃え殻のエッセイには癒やされると同時に、考えさせられる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2221)】
キキョウソウ(写真1、2)、ナワシロイチゴ(写真3、4)が咲いています。ヘビイチゴ(写真5、6)が実を付けています。我が家では、サツキ(写真7)が見頃を迎えています。
閑話休題、エッセイ集『夢に迷って、タクシーを呼んだ』(燃え殻著、扶桑社)には癒やされると同時に、考えさせられました。
「また一つ,出来そうにない仕事が確定した瞬間だった。『仕事こそ我が人生』『恋愛こそ人生のすべて』的な一点賭けが苦手だ。いや、後々そう思っただけだよ、はわかる。でもライブでそれを言い切られると少々辛い。『辛い』の『辛』という漢字に『一』を足すと、『幸』つまり『幸せ』になるんだよ、という論点ずらしくらい苦手だ」。私は仕事人間かつ恋愛至上主義者で、他人にも大声で使嗾してきた口なので、うーむと、考えさせられました。
「モテる男は時代によって変わると思うが、モテない男の基準はずっと変わっていない気がする。まーまー長く生きてきて自分なりに導き出した答えは、『不潔とケチはモテない』だ。男にも女にも犬猫にも不潔とケチはモテない。・・・とても世話になっている偉い人がいる。世話にはなっているが、一つだけ間違いのないことがある。彼は生粋のケチだということだ。そしてここだけの話、不潔でもある。偉い人に不潔を注意できる人は、社会性がものすごくないか、ものすごい信頼されているかのどちらかだ。僕は両方中途半端なので、彼にケチかつ不潔だということを、言えないまま数年が経った。結果的に、ケチかつ不潔がどう世の中から扱われるかの生体実験を見ることになってしまった。結論はガッチリと出た。カネがあって地位があってタワーマンションに住んでいるのに、ケチかつ不潔だとモテない」。思わず、自戒の念を覚えてしまいました。
「国から『新しい生活様式』を提示されるまでもなく、ここまで人々の日常の時間の使い方が変われば、社会の常識は変えざるをえない。エクセルすら疎いクライアントが『夕方、5時からオンライン会議よろしく』とメールをしてきた。ずっとやってきた当たり前みたいに、先週あたりに憶えた『オンライン会議』という単語を常識化しようとしていた。常識を習慣化することがめっぽう苦手で、ずっとドタドタ生きてきた僕からすると、そうやってなんでも一瞬で取り入れ、いち早く習慣化できる人は少し眩しすぎて苦手だ。眩しい人が近くにいると、いらぬ嫉妬を憶えてしまうので、距離を取って生きていきたい。そこに関してこそ、『ソーシャルディスタンス』という言葉を積極的に使っていきたい」。座布団、一枚! 妙に、大きく頷いてしまいました。