榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

中学2年生の女の子と「月の王子さま」の物語・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2253)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年6月13日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2253)

ツユクサ(写真1)、ヒメヒオウギズイセン(写真2)、アカンタス(ハアザミ)・モリス(写真3)、アフリカハマユウ(インドハマユウ。写真4、5)、サボテン(写真6、7)、ホンコンエンシス(常緑ヤマボウシ。写真8~10)が咲いています。我が家の玄関の曇りガラスにナミテントウ(写真11)がやって来ました。庭では、ナツツバキ(写真12)が咲き、コクチナシ(写真13、14)が香っています。

閑話休題、絵本『ハルカと月の王子さま』(鈴木おさむ作、伊豆見香苗絵、双葉社)の語り手「僕」は、マグカップに描かれた「星の王子さま」ならぬ、「月の王子さま」です。

「思い出すなー。今から16年前、福岡の繁華街、天神の雑貨屋『ファイン』の棚の一番奥でさ、ほこりをかぶっている僕をさ、遥が見つけてくれたんだ」と始まります。

中学2年生、14歳の遥は、何を飲む時も僕を大切に使ってくれたよね。中学3年の受験勉強の時は、僕も根性出して、頑張ってたんだよ。合格した時、「この王子さまが一緒に頑張ってくれたから受かったんだよ』と言ってもらえて、嬉しくて、泣きそうだったよ。

高校生になっても、初恋の時も、大学に合格して東京で一人暮らしになっても、彼氏ができた時も、二股かけていた彼氏にフラれた時も、銀行に就職してからも、2つ年上のタケル君と恋をして、30歳で結婚してからも、流産した時も、2年後にヒロキが生まれてからも、いつもいつも一緒だったね。

そしてさ、ヒロキの3歳の誕生日、「ヒロキの手から離れて床に落ちた僕の体は、割れたんだ」。

「ヒロキ! 僕はね、君のママが、遥が14歳の時に出会って、これまで大切にしてくれたんだ。中学生だったママが、高校生になって大学生になって、パパのタケル君と出会って、愛することに気づいて。そんな姿をね、ずっとずっと横で見ることができた。勝手に、君のママをね、守ってきたつもりだった。・・・ヒロキ、頼んだぞ。これからママの横でママのことを守ってやるんだ。一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に怒って、また、一緒に笑って。僕の代わりにママのことをずっとずっとずっと守ってあげてくれよな」。

「僕はこれからも月の上で、一番近くで、ずっと見守っている。愛してるよ。月の王子さまより」と結ばれています。

傍らの女房に気づかれないように、涙を堪えました。