マクシミリアン・エレールは、シャーロック・ホームズのモデルか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2281)】
チトニア(メキシコヒマワリ。写真1、2)、ダリア(写真3)、カンナ(写真4)、グラジオラス(写真5~8)、ヤマハギ(写真9、10)、ユリ(写真11~13)が咲いています。
閑話休題、『マクシミリアン・エレールの冒険』(アンリ・コーヴァン著、清水健訳、論創社)は、フランスの古典的推理小説です。
「私がマクシミリアン・エレール氏と知り合ったのは、1845年1月3日の夜8時のことであった」と始まります。医師の「私」は、マクシミリアンの健康を気遣う共通の友人から、マクシミリアンの診察を依頼されたのです。
「マクシミリアン・エレールは暖炉のそばの大きな安楽椅子に長々とのけぞっていた。頭を後ろにそらせ、足を薪台の上に載せていた。骸骨のように痩せた身体を長い外套でくるんでいた。・・・せいぜい30歳くらいであろうか。しかし目の周りには黒い隈ができ、唇には血の気がなく、白髪まじりで、手足は小刻みに震え、まるで老人のようだった。彼はどすんと安楽椅子にのけぞり、私に手を差し出した」。
哲学者にして弁護士のマクシミリアンは、パリの銀行家の富豪殺し事件の解決に乗り出します。被疑者と見做された青年は無実と見破り、富豪と不仲の富豪の兄に疑いを向けます。「その驚くべき明晰さ、鋭く確かな観察力、そして真実への情熱に敬服したが、この情熱によって我が不思議な友人は殺人犯に食らいつき、あらゆる動作、あらゆる視線を監視し、その思考までも見破っているのだ! 私は言葉の限りを尽くしてマクシミリアンを絶賛した」。
ところが、意外な結末が待ち構えています。
この作品が興味深いのは、マクシミリアン・エレール(探偵)と私(医師)の関係が、シャーロック・ホームズ(探偵)とジョン・ワトスン(医師)の関係を思わせることです。イギリスのコナン・ドイルのシャーロック・ホームズ・シリーズが、6年先立つフランスのマクシミリアン・エレールから影響を受けたのではないかと議論されているからです。
探偵落第の私には、ドイルが影響を受けたとも否とも判断しかねるが、そのことを措いても、推理小説として十分楽しめる作品です。