榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

古今東西を通じて本格推理小説の最高傑作と評される『Yの悲劇』・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2482)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年2月2日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2482)

雄のモズから幾度も熱心に求愛されても、雌は知らんぷり(写真1~9)。数分後に、諦めた雄は飛び去っていきました。自分の切なかった初恋を思い出してしまいました。シジュウカラ(写真10、11)、シロハラ(写真12~14)をカメラに収めました。

閑話休題、古今東西を通じて本格推理小説の最高傑作と評される『Yの悲劇』(エラリー・クイーン著、越前敏弥訳、角川文庫)を繙きました。

傲岸で鉄の意志を持つエミリー・ハッターに率いられた、巨富を誇るハッター家は、妻に頭が上がらず化学実験室に籠もりがちな二度目の夫ヨーク、奇才の詩人として世に知られる長女バーバラ、美しいが底意地が悪く、乱痴気騒ぎばかりしている次女ジル、飲んだくれては荒れる長男コンラッド、臆病でコンラッドとは不仲の妻マーサ、激し易く我儘で手に負えない、二人の長男ジャッキー、兄の真似をしたがる次男ビリー、そして、エミリーが前夫との間に儲けた、目が見えず耳も聞こえず、言葉も喋れない娘ルイーザと変わり者ばかりで構成されています。

「わたしは自殺するが、精神状態はまったく正常である」との遺書とともにヨークの死体が海で発見されるところから物語が幕を開けます。

ハッター家の屋敷で奇怪な毒殺未遂事件が続きます。姿の見えない犯人に狙われ続けるのは、三重苦の娘ルイーザです。次いで、エミリーがマンドリンで殴り殺されるという事件が起こります。エミリーと同じ部屋で寝ていたルイーザは、捜査を進める探偵ドルリー・レーンに、点字盤と手話を駆使してこう告げます。犯人のすべすべした柔らかい頬に触れたと。そして、犯人からはアイスクリームかケーキのようなにおいがしたと。

引退したシェイクスピア俳優レーンが精緻な推理を重ねて遂に突き止めた、思いもよらない犯人とは・・・。

さすがエラリー・クイーン、一気に読み終えてしまいました。

原著が発表されたのが1932年ということで、現在から見ると医学的に間違った表現が散見されるのは、已むを得ないでしょう。