榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

林真理子のエッセイを読むと、私が接触することのない世界の現状を窺い知ることができます・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2579)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年5月10日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2579)

オルラヤ・グランディフローラ(写真1)、ブタナ(写真2、3)、アマリリス(写真4)、パンジー(写真5~7)が咲いています。我が家の庭では、ヒメヒオウギ(フリージア・ラクサ。写真9)が咲き始めました。庭師(女房)の草取りを手伝っていたら、日光浴中のニホンカナヘビ(写真10~13)と目が合いました。

閑話休題、林真理子のエッセイを読むと、私が接触することのない世界の現状を窺い知ることができます。『美を尽くして天命を待つ』(林真理子著、マガジンハウス文庫)でも、その期待は裏切られませんでした。

●喰い込まなきゃ
「今、エリートだからといって珍重する女などめったに見ることはない。私のまわりはバリバリ働いている女性が多いので、『ああいう人と結婚するとめんどうくさそう』という空気が強いのである。そしてエリートと言われる男の人たちも変わった。上司に聞いたところ、以前のように上役が勧めるまま、金持ちや名門の令嬢と見合い結婚する人などいないそうだ。・・・私は反省しているのである。『エリートで見た目まあまあなら、女の人はすぐにとびつく』『若くて美人なら男の人はとびつく』という古い考えを私は持っていたのではなかろうか。・・・いずれにしても、いずれはみんな誰かと結ばれる。世の中には何百万という組み合わせがある。ヘンなのにひっかかるのも不幸だけどその組み合わせにひっかからないのはもっと不幸。みんなとにかく喰い込みましょう」。

●それって幻想だよ
「『ルミネ』のコピーにあるとおり、最近の女の子はみんな可愛い。おしゃれでスタイルもいい。が、街ゆく人を見ていたり、テレビの街頭インタビューを見ていたりすると、五人に一人ぐらいの割合でそうでもないコがいる。『歯を直せばなんとかなるのに』と思うぐらい出っ歯だったり、顎がなかったりする。目が小さくて、地味な顔立ちのコも結構いる。しかしその傍にはかなりの確率で彼氏がいる。・・・(私が)『ブスだから悲惨な少女時代をおくった』『そしてそのことが正確を歪めた』というのは、男の人の幻想だ。ごく悲惨な例を除いて、女の子というのはそんなにヤワなものではないはずだ。美人に生まれなかったのは仕方ないけど、『ま、この顔でやってくか』と納得するのが、たいていの女の子の気持ちではなかろうか。『いざとなったら、ちょいお直し』『このレベルなら、化粧で何とかなる』と前向きに考える。そしてほとんどそのとおりになるのだ。・・・私もそうだけど、彼女たちは、女子アナとかモデルに目の色変える、ITや外食産業の社長さんたちのことを『ケッ』と思っているはずだ。『あの人たちって、結局はそんなもんだよね』。女を容姿でしか評価しない男の人たちが、女を差別していく」。

●息を呑むミスター
「本当に私はメンクイであろうか。そりゃあブサイクよりも、イケメンの方がいいに決まっているが、それほど固執した憶えもない。なぜならそんないい男が、私のことを好きになってくれるはずもないからだ。若い頃は『ほどほど』のところで手を打ったが、あちらも『ほどほど』で我慢しているのが何となくわかった。『ほどほど』と『ほどほど』とで、まあ恋愛していると思っていたわけだ。今の人というのは、それほど自分の好みでもない異性の機嫌をとり、お金と時間を遣うのがイヤだという。それほどまでしてつき合ったり、セックスしたくもないという考えの人が増えているらしい」。