榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

15人の徳川歴代将軍の意外な素顔が紹介されている一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2595)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年5月26日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2595)

トケイソウ(写真1、2)、カルミア(アメリカシャクナゲ。写真3~5)、セイヨウキョウチクトウ(写真6、7)、タイサンボク(写真8~10)が咲いています。コアオハナムグリ(写真10)がタイサンボクの花粉を食べています。チャイロオオイシアブ(セアカオオイシアブ。写真11)、アオスジアゲハ(写真12)をカメラに収めました。アカボシゴマダラ(写真13、14)が口吻を伸ばしています。因みに、本日の歩数は14,639でした。

閑話休題、『なにかと人間くさい徳川将軍』(真山知幸著、彩図社)では、15人の徳川歴代将軍の意外な素顔が紹介されています。

例えば、2代将軍・秀忠――。「豊臣家から迎えたお江に対して、秀忠が下手に出るのも無理もない。そうでなくても、お江は戦国の世を渡り歩き、すでに2度の結婚と出産を経験している。人生経験が豊富なお江は、27歳とは思えないほど、どっしりしていたことだろう。・・・(妻を恐れて一人も側室を持たなかった)秀忠も思い切った行動に出たことがあった。お静という女中とこっそり関係を持って、幸松という子を産ませている。お江を恐れて、城外で生ませたうえ、秀忠が対面することは許されなかった。よほど恐ろしかったのだろう。女中を妊娠させたとき、秀忠は家康にどうすべきか相談しているくらいである」。この幸松こそ、後に4代将軍・家綱を補佐した保科正之です。

強い個性を発揮した3代・家光の跡を継いだ家綱は影が薄いが、家臣に任せる体制で幕府を全国政権に成長させ、ちゃっかり大改革を行っていたことを知りました。

中興の祖ともいうべき8代・吉宗の跡を継いだ9代・家重はあまり期待されていなかった将軍です。ところが、自らは前に出ないが、人を見出す力を発揮したと評価されています。「(家重は)『徳川実紀』によると、(10代)家治への遺言で『田沼意次を重用するように』と伝えて、51年の生涯を閉じた。頭角を現し始めた意次の才を家重はしっかりと見抜いていたようだ。将軍としては頼りない部分はあったものの、家重はそれを自覚していたのだろう。また、コミュニケーションが不得手な人間ほど、よく周辺の人間関係のことを見ていたりもするものだ。人材発掘と人材登用に長けていた家重。そのもとで育った人材は、次期政権を支える存在として活かされることになる」。

よく知られている将軍だけでなく、あまり認知度の高くない将軍についても十分なページが割かれているので、意外な発見を愉しむことができます。