榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

「人事を使った強力な官邸主導」の罪と罰・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2664)

【読書クラブ 本好きですか? 2022年8月2日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2664)

ムラサキシジミ(写真1)、ヒメウラナミジャノメ(写真2、3)、イチモンジチョウ(写真4、5)、ツマグロヒョウモンの雄(写真6)、アカボシゴマダラ(写真7~9)、バッタ科の一種の幼虫(写真10、11)をカメラに収めました。樹液に群がるハナムグリの模様を確認するため捕獲したところ、シラホシハナムグリ(写真12、13)と分かりました。撮影後、放ちました。

閑話休題、研究発表集『検証 安倍政権――保守とリアリズムの政治』(アジア・パシフィック・イニシアティブ著、文春新書)の中で、私がとりわけ注目したのは、中北浩爾の「人事を使った強力な官邸主導」です。

「第2次安倍政権の官邸主導に特徴的なのは、人事を通じた各省庁の官僚に対する強力なコントロールである。内閣人事局が、その象徴的存在として扱われる。・・・第2次安倍政権について特筆すべきは、菅官房長官ら官邸首脳が、発足当初から幹部官僚人事に恒常的に関与する強い意思を共有していたことである。この点で、第1次安倍政権を含む従来の政権とは異なっていた。・・・菅は第2次安倍政権が発足した直後、次官連絡会議で『幹部人事はすべて、(閣議人事)検討会議に諮る。事前に、杉田官房副長官に相談するように』と挨拶した。・・・首相官邸で人事案が覆されることが続いたため、各省庁の官僚は大臣の了承を得る前に正副官房長官に人事案を示すようになった。・・・さらに2013年8月8日、集団的自衛権の行使容認の憲法解釈変更を実現すべく、内閣法制局長官に内部昇格の慣例を破って外務省出身の小松一郎を任命した」。

「各省庁の官僚をコントロールする手段として幹部官僚人事を用いる第2次安倍政権の意思は顕著であった。さらに、内閣人事局が設置されたことで、幹部官僚人事に対する首相官邸の関与が一段と制度化された。・・・その結果、政策決定過程での官邸主導が強化された。・・・それが弊害を生み出しているという批判も強い。福田元首相は、内閣人事局について『政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ』と語り、こう嘆いている。『各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている』。『官邸の言うことを聞こうと、忖度以上のことをしようとして、すり寄る人もいる。能力のない人が偉くなっており、むちゃくちゃだ』」。

官邸主導を批判する一方で、強力で安定した政治的リーダーシップが生み出されたことを高く評価するなど、中北の本音は、もう一つはっきりしないが、私は福田康夫の見解を支持します。諸悪の根源が「過度の官邸主導」にあることは、その後の数々の不祥事が雄弁に物語っています。