さまざまな達人たちに学ぼうというユニークなエッセイ集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2768)】
ハシビロガモの雌(写真1)、マガモの雄(写真2、3)、雌(写真2、4)、カルガモ(写真5)、カイツブリ(写真6)、キタテハ(写真7、8、10)をカメラに収めました。キク(写真7~9)が咲いています。ヒラタケ(写真11~13)が生えています。因みに、本日の歩数は13,208でした。
閑話休題、『世界はフムフムで満ちている――達人観察図鑑』(金井真紀著、ちくま文庫)は、「この世は思ったよりずっと広くて、にぎやかみたいだ」と気づいた著者が、さまざまな達人たちに学ぼうというユニークなエッセイ集です。
「自分の持ち場を丁寧に照らしている達人に会うと、うっとりする。腹立たしいこと、嘆かわしいことの多いこの世界だけど、捨てたもんじゃないぜという気持ちになる」。
とりわけ私の印象に残ったのは、●インタビュアー、●国語辞書編集者、●少年サッカーの監督――の3人です。
●インタビュアー
「どんなに緊張する場面でも、どんなに相手が意地悪でも、首尾よくインタビューできる秘策があるという。なぬ! 俄然、食いつくわたし。『インタビューの前に自己暗示をかけるんです。私はこれから会う○○さんが大好きだ、目の前にいたら抱きつきたいくらいだ、実際に抱きついちゃったらどうしよう・・・って、本気で考える。そうしてから相手に会うと、インタビューはきっとうまくいきますよ』。以来、この秘策をお守りのように大事にしている」。
●国語辞書編集者
「『何万もの言葉を拾い集めて気づいたのは、まちがっている言葉なんてないということです』。一瞬、はにかむ。『どの言葉も望まれて生まれてきた。だから言葉を差別してはいけないんです』。はー、なんだろう、このジーンとくる感じ。みんな望まれて生まれてきた。だから差別してはいけない、か」。
●少年サッカーの監督
「プロを目指す精鋭小学生のチームは、念願の全国制覇を果たした。・・・なんとその後、チームは崩壊寸前になる。日本一になった子どもたちは、目標を見失ってしまったのだ。たった十二歳で。監督は、自ら問い直した。この子たちにとって、なにがいちばん大事か。プロになれる子もいるかもしれない。しかし、なれない子のほうが多いだろう。(自分だって、強豪校のレギュラーだったのにその夢には届かなかった)。それでも、ずっとサッカーを続けてほしい。サッカーを通して成長してほしい。(自分だって、サッカーをしていなければもっと嫌なヤツになっていたと思う)。『目標は優勝じゃない。サッカーを好きになること、なんだ』」。
著者の目論見は成功している、と思う。