榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

生命(いのち)を大事にしよう!・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2786)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年12月2日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2786)

東京・文京の小石川後楽園で、紅葉、黄葉を堪能しました。因みに、本日の歩数は11,744でした。

閑話休題、『手塚治虫全史――その素顔と業績』(手塚プロダクション編、秋田書店)のおかげで、手塚治虫の生涯と全作品を俯瞰することができます。カラー図版が効果を発揮しています。

手塚自身の言葉――「漫画の発展のめまぐるしい変化の中で、僕の漫画もどんどんかわってきました。この本には、そういった変化が一目でわかるように作品が挿じょう入されています。また、まるまっちいディズニータッチの漫画、良い子のための教育的漫画の時代、劇画風コミックのどぎつい内容の漫画、おとな向けの漫画と、時代の流れと僕の姿勢なども、わかるように並べられています。しかし、終始一貫して、僕が自分の漫画の中で描こうとしているものは、次の大きな主張です。『生命(いのち)を大事にしよう!』。この主張は、『自然の保護』『生きものへの賛歌』『科学文明への疑い』『戦争反対』などのテーマにかえて、どの作品でも、訴えたつもりです。僕は大きな戦争を、少年時代に体験してきました。だからこそ、生きているというありがたさ、生きることの尊さを、みなさんに訴えたいのです。それと同時に、生きていく苦しさも読みとってほしいと思います」――が心に沁みます。そして、この手塚の願いは、本書で十分達せられています。

因みに、私がとりわけ好きなのは、大長篇漫画『ブッダ』と、晩年の代表作『アドルフに告ぐ』です。